有限要素法
有限要素法は、構造物の設計および研究分野を中心に活用、発展してきた、微分方程式の近似解の数値を得るための解析手法の一種である。方程式で定義する領域を小さな領域(有限である要素)に分割していき、それぞれの領域における方程式の近似解を求める。
その計算においては、大規模な連立一次方程式を解くことになるため、その時々の最新のコンピュータを用いてきた。有限要素法は、構造解析ソフトウェアにおいて「ソルバー」と呼ばれる計算プログラムのロジックとなる。ユーザーが与えた工学的条件に対して、ソルバーが大規模な方程式を自動処理して計算結果を導き出す。
有限要素法解析においては、連続性のある物体データ(ジオメトリ、形状データ)を数の限られた要素(エレメント)、すなわち有限要素で分割して、物理現象を数値化して予測する計算を実行する。
有限要素の集合体は「メッシュ」と呼ばれ、要素分割の作業や処理を「メッシング」あるいは「メッシュ生成」などと呼ぶ。分割された要素の頂点を「接点(ノード)」と呼ぶ。計算規模(データの大きさ)は、接点数(ノード数)で表現されることが多い。構造解析における有限要素の種類で代表的なものは以下である。
- 梁要素(バー)
- 板要素(シェル)
- 立体要素(ソリッド)
これらの要素を単独もしくは組み合わせることで解析モデルを表現する。
ソリッド要素には、四面体(テトラ)、五面体(ペンタ)、六面体(ヘキサ)が存在する。例えば「テトラメッシュ」といえば、四面体によるメッシュということになる。「複雑な形状表現で役立つ」「自動メッシュに適していない」など、要素それぞれで特徴を持っているため、形状や目的に応じて使い分ける。
過去、グラフィックス技術が存在しない時代においては、メッシュ分割の作業は図面の形状の上に分割パターンを描き、手計算で接点座標を求めるしかなく、計算そのものよりも、計算するための準備に膨大な時間をかけざるを得なかった。現在はこの作業もソフトウェアで行えるようになった。メッシュを細かくすればするほど計算精度が高まるものの、ソフトウェアのプログラムや計算機への負荷もそれなりに増えていく、つまり計算は長時間化する。
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