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マルチボディメカ設計用語辞典

メカ設計者のための用語辞典。今回は「マルチボディ」について解説する。

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マルチボディ

 「マルチボディ」とは、ソリッド3D CADにおいて、1パーツの中に複数のボディ(ソリッドボディ)がある状態やモデルそのものを示す。ソリッドは、立体形状が体積を持っている状態である(閉じて、中身が詰まっている状態)。ソリッドモデリングでは、形状を追加していく過程で、同じボディにするか(マージ)、別ボディにするか選択できる。

 マルチボディは複数部品で構成される形であるが、パーツファイルを組み立てて構成するアセンブリファイルとは異なり、パーツファイルとなる。ダイレクトモデラーのようにアセンブリデータを構築しない3D CADでは、マルチボディでアセンブリモデルを作成する。アセンブリデータを構築する3D CADでは、マルチボディのデータからアセンブリデータを作成することも可能である。

 マルチボディのデータは、1つのボディに結合することも可能である。複数のボディを結合する(和)、重複する部分を除去する(差)、あるいはそれを残す(積)といった作業が行える。この処理は「ブーリアン演算」と呼ばれる、「ブール論理」の応用技術である(「ブール」は、英国の数学者ジョージ・ブール氏に由来)。3D CADではソフトウェアにより「ブール演算」「ボディの組み合わせ・除去」などと呼ばれ方がそれぞれ異なる。

 マルチボディを使ったモデリングは、例えばパーツファイルの中で、全体の形状を考えてから、それを複数のパーツにその場で分けていけるため、構想設計にも活用可能だ。摺動(しょうどう)部やヒンジなど、複数の部品が組み合って動くパーツを作成する際、全体の形状を見渡しながら、各パーツの形状を検討できる。また、複雑な形状でくり抜く際にも向いている。

 上記は「マルチボディダイナミクス」のマルチボディとは異なる。マルチボディダイナミクスは「多体動力学解析」の意味であり、こちらのマルチボディは複数の剛体(rigid body)を示す。

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