応力とは
応力は、設計強度を表すための1つの指標である。物体の内部に生じる力の大きさを示す物理量を表す。物体の単位面積に対してかかる荷重(外力)に対して、それに応じる内力が発生する。それがすなわち応力である。英語では「stress」となる。
応力は、面に対してかかる荷重を断面積で割ることで求める。応力の単位「kgf/mm2」または「Pa(パスカル)」である。国内の工学や工業においては、1991年に日本工業規格規格(JIS)が完全に国際単位系準拠になったことから、応力の単位は国際単位(SI単位)であるPaが主流となった。1Paは、1m2の面積につき1Nの力が作用する応力である。
垂直応力とせん断力
面に垂直な応力の成分を「垂直応力」と呼び、一般的にはσ(シグマ)で表す。面に平行な応力の成分を「せん断応力」と呼び、一般的にはτ(タウ)で表す。「せん断力」とは、物体の内部で擦れ違うように働く力である。応力には、直交座標系(x、y、z)で定義する垂直応力3成分、せん断応力3成分があり、全部で6成分となる。
「ミーゼス応力(Von Mises応力、相当応力)は、物体内部に生じる応力状態を単一の値で示すための応力である。ミーゼス応力は、スカラー値である。スカラー値は、方向の概念はなく、大きさの概念のみである値のことを指す。ミーゼス応力の数式を用いることで、応力の6成分を統合し、プラスもマイナスもない1つの値で応力が表現可能になる。またミーゼス応力は、材料物性値で比較することにより強度を判定できる。
「主応力」は、せん断応力が0となるように座標系(Cp)を取ったときの、垂直応力の3成分(σx、σy、σz)で表現する。主応力は大きさと方向を持つベクトル値である。主応力には、最大主応力(σ1)、中間主応力(σ2)、最小主応力(σ3)がある。
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