CIM(コンピュータ統合生産)
「CIM」は“Computer Integrated Manufacturing”の略語であり、日本語では「コンピュータ統合生産」と訳される。製造業における製造全般や技術、生産に関する情報をコンピュータシステム上に統一管理する仕組みのことで、いわゆる「生産管理システム」と捉えることができる。
CIMは、CADやCAMのデータ、機械制御のデータを統合管理して部門間共有し、納期短縮や在庫削減をかなえる仕組みである。以前のCIMは製造と販売の情報共有が目的のシステムであったが、近年は調達や流通といった部分にまで範囲が拡大し、間接部門全体の連携を目指したシステムとなってきている。各部署間の連携をスムーズにすることで、製造全体の効率化を図ることを目的としたシステムとして扱われるケースが増えた。
CIMは1980年代にコンピュータが登場した頃に登場し、IT用語としては比較的古い。CIMの概念を引き継いで拡張された後発の仕組みの数々が登場したことで、近年はCIMという言葉自体、聞こえてくることが減ってきている。
企業経営全体を最適化する「ERP(Enterprise Resource Planning)」や、サプライチェーン全体を最適化する「SCM(Supply Chain Management)」はCIMの後発システムであり、その基本概念を引き継いで発展したものである。
製造については、製造現場におけるQCDを管理する「MES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)」も同様に、従来のCIMの概念が拡張されたものといえる。生産ラインにおける作業手順や入荷/出荷、品質、保守までを統合管理できる。
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