設計の傍らで使える熱伝導解析機能を追加:シーメンスPLMソフトウェア、米国で新製品発表
ミッドレンジ3次元CAD「Solid Edge」の最新版「ST5」では新たに、CADの中で使える熱伝導解析機能を追加。マルチボディモデリングも強化した。
シーメンスPLMソフトウェアは2012年6月12日(現地時間)、米国テネシー州で開催した同社のユーザー向けイベント「Solid Edge University 2012」で、「Solid Edge ST5」の概要を明らかにした。同社のモデリング技術「シンクロナス・テクノロジ」がより複雑な形状に対応し、熱伝導解析の機能を追加した。併せて、新製品の設計データ管理ツール「Solid Edge Insight XT」も発表した。
従来、複数の部品を単一の部品ファイルの中で扱いたい場合は、フィーチャ履歴までコピーしてしまったため、データが重たくなり、作業効率も損なわれた。Solid Edge ST5ではシンクロナス・テクノロジの履歴のない環境でマルチボディを定義できるため、データ容量を削減するとともに、その作業の効率化を図れる(従来の「オーダード」でも定義可能)。
例えば、旧バージョンではインポートデータが複数のパーツから構成される部品の場合であっても、パーツファイル扱いであれば、複合した形状の塊として認識していたが、新製品では単一のパーツの中であってもそれぞれのボディとして認識する。
この機能により、2次元CADやドラフターでやってきた設計に近い考え方で作業も可能だという。
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アセンブリでは、左右対称にアセンブリをコピー可能な機能を追加。部品がコピーされると、勝手違いであるべき部品は自動修正され、その必要がないものはそのままとなる。
「面の除外」の機能では、形状修正や移動でエラーが生じた箇所をハイライトし、一時的に拘束を緩和する(駆動寸法記入に対する、参考寸法のような機能)。
「スロット」機能では、ピンが通るスロット穴(ガイド穴)が定義可能だ。シンプルな貫通穴だけではなく、穴の周囲に座ぐりも設定画面から定義できる。「スロット穴」を定義する幾何拘束も追加。長穴の中心線とその相手となるピンの軸を定義可能とした。
複雑なサーフェス形状をインポートした際にできる微小な穴なども自動修正で対応。このようなサーフェス形状にまつわる課題は、今後も積極的に改善していくということだ。
2次元図面作成では、左右対称な形状のそれぞれに記入した寸法線を自動的にそろえる機能を追加した。
スケッチのインポート、あるいはDXFファイルの保存時には、3次元データ由来の2次元データで起こりがちな「複数の線の重複」「途切れ途切れ状態」を無駄のない線画データに自動修正してくれる(「クリーンスケッチ」機能)。余計な線図データがなくなり、データ容量も従来のものよりも軽減できる。
さらにSolid Edge ST5には、新たに熱伝導解析機能を追加。CADのオペレーション画面から、熱伝導解析が直感的に実施できる。従来の構造解析の機能と同様に同社の「Femap」の技術を適用し、微小なエッジや面を補正してメッシュを切る機能を備える。
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Solid Edge ST5では、他にも、3次元ワイヤハーネスの「ネイルボード」機能の追加、インポートモデルの「穴認識」や「エラー検知/修復」、2次元図面におけるビード部のハッチング表示コントロールなど、多数の機能追加や改善がなされている。
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Solid Edge Insight XT
新製品のSolid Edge Insight XTは、同社が従来より提供してきた「Windows SharePoint Services」(マイクロソフト)を利用したSolid Edgeと連携するデータ管理ツール「Insight」の機能を拡張した製品だ。
これまでInsightで提供してきた、チェックイン/アウト管理や、データ同期、排他処理などの機能に加え、設計作業にまつわるワークフロー(設計変更や承認などのフロー)管理の機能を提供したものだ。その概念を以下のような図で示した。
Solid Edge Insight XTの概念図:Insight XTがカバーするのは、あくまで設計の範囲。一番外側のプロダクトライフサイクルの領域は、同社のPLM「Teamcenter」がカバーする構想となっている。
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第23回 設計・製造ソリューション展(DMS2012)
会期 2012年06月20〜6月22日 10:00〜18:00※最終日のみ17:00終了
会場 東京ビッグサイト
シーメンスPLMソフトウェア ブース情報
東2ホール(小間番号:14-42)
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