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ダイダイダイレクト祭! その1「Solid Edge」3次元って、面白っ! 〜操さんの3次元CAD考〜(12)(1/2 ページ)

最近の3次元CADのトレンド「ダイレクトなモデリング」をテーマにさまざまな3次元CADの機能を紹介していく。今回は、Solid Edge。

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 コラムの内容が近頃、“柔らかい方向”に走っていたので、たまには“硬い方向”にも行ってみましょう。そういうわけで(!?)今回のテーマは「ダイレクト祭」になりました。さて、ダイレクト祭とは、一体何なのか。

 昨今の3次元CADの傾向として、「ダイレクトに形状を触って編集できる」ことをうたっているのが目立ちます。しかしユーザーからすれば、どれも同じように見えたりします。そのくせ、やっぱり中身は違うみたい……。「正直ちょっと、よく分からない……」という声も結構あるのではないかと思ったのです。

 もちろん、ベンダー各社は、新製品発表の際にいろいろとアピールしています。そして、アピールしている機能もさまざまです。ですがメディアなどで、「ダイレクトに形状を操作すること」について、横断的に紹介した例はあまり見かけません。

 「じゃあ、『一体、何がどう違うのか』ということを各ベンダーに突撃取材して(大げさな……)聞いていってみようぜ!」という企画がMONOist編集部と私の間で進み、いつのまにか「ダイレクト祭」というタイトルが付いていたわけなのでした。

 そんなわけで、私のコラムの記事として数回に掛けて、幾つかのベンダーさんの主張を“私なりに”解釈し、紹介していくことになりました。多少甘めかもしれませんが、ツッコミも入れていくつもりです。

 ちなみに、「どれが一番良い」とか、クロスレビューをするとかは考えていません。ただ、単純に「何がどう違って」「どんなところがよいのか」「特徴が何なのか」というところをうまく表現したい、というのがこのお祭の趣旨です。

 それから、取り上げたソフトウェアの順番は、サイコロを転がすようにランダムで決めて、かつアポイントが取れた順です。それ以上の意図は何もありませんので、あしからず……。

トップバッターは?

 1発目は、シーメンスPLMソフトウェア(Siemens PLM Solutions)の3次元CAD「SolidEdge」です。

 Solid Edgeで直接形状を操作する機能と言えば、「シンクロナス・テクノロジ(Synchronous Technology)」です。

 MONOistでも度々取り上げられていますから、その名前を聞いている人は多いと思います。しかし、その一方で「それがなんなのか」「具体的にはどのようなもの」で、「どんなふうに挙動するのか」は直接触ってみないと、やっぱり分からないのではないでしょうか。

 今回は、シーメンスPLMソフトウェアの“中の人”たちに話を聞いてみました。

シンクロナス・テクノロジってなんぞや?

 そもそも、シンクロナス・テクノロジって、何で「シンクロナス」っていうんでしょうか? ――水野の“素朴な疑問”でした。一体、何と何が「同期する(Synchronous)」のか……。

 何が“シンクロナス”かというと、「ヒストリ」と「ノンヒストリ」。つまり、「ヒストリとノンヒストリが、シンクロする」というところから、「シンクロナス」という言葉になったようです。

 要は、シーメンスPLMソフトウェアからいただいた資料(以下)にもありますとおり、「両方のイイトコ取り」なんだそうです。


図1 シンクロナス・テクノロジとは(シーメンスPLMソフトウェアの資料より)

 さて、これで安心してお話を先に進められますでしょうか(笑)。

「履歴がない」とは

 第1の特徴は、やっぱり「履歴がないこと」ですね。

 MONOistの読者の皆さんの中には、さまざまな3次元CADのテクノロジーに精通している人もいるのでしょうが、一般的なユーザーは「どれも同じに見える」というのが現実なような気がします。

 現在市場に出回る主要な3次元CADには、大体「形状を直接操作する」という機能が付いてきていますが、Solid Edge(とNX)のシンクロナス・テクノロジは、他のCADが持つ、いわゆる「ダイレクトモデリング」の機能とはどこが異なるのでしょう。

 それは2つのポイントに集約されるようです。

1.履歴のある・なし

 1つ目は、「履歴があるか・ないか」です。通常「ダイレクトモデリング」と呼ばれる場合には、確かに「形状を直接操作する」という面ではユーザーにとっての使い勝手はそれほど変わらないかもしれませんが、実際、その裏側に履歴があります。ユーザーにとって、そんなに違いが分からなければ良いのでは? という気もするけれど、そういうわけでもないようです。

 ダイレクトモデリングの場合には、「ダイレクトモデリングというフィーチャ」ができて、さらに増えるパラメータが、データの構造の中に加わっていくことになります。つまり、操作を繰り返せば繰り返すほど、データが重たくなっていき、それが後々のトラブルの原因にならないとも限りません。

 さらに「形状を直接いじれる」とはいっても、履歴がある以上は、履歴の縛りからは逃れられない。つまり親子関係は無視できないけれど、履歴がなければ、そのことは気にしなくてもよい。いずれにしても、「ロールバックして、直して、またアップデートして……」という必要がなくなるというのが、「履歴レス」のメリットでは確かにありますね。

 でもやっぱり、「履歴をさかのぼって修正したい」というニーズもあるのでは? って思ってしまいます。

 でも本当に、履歴をさかのぼって修正する必要って、実際、どれくらいあるのしょうか。特に古い部品になるほど、わざわざさかのぼって修正するということは、それほどないのでは? という考えもありそうですね。

 でもでもやっぱり、スケッチで拘束を付けるなどして、それを駆動した方が便利な場合も結構あるのでは? と思います。

 形状を簡単にいじれるのはいいけれど、変更した部分と、そこに関連していた部分の関係は一体どうなってしまうのか……。形状を直接、制限なくいじれることは確かに便利なのですが、機械設計をする場合には、さまざまな拘束条件があるのが普通です。形状が変わるのはいいのですが、関係性まで壊れてしまっては困るのです。

 そこで出てくるのが、シンクロナスのもう1つの特徴である、「拘束が必要な場合は、後から付けられること」。

 Solid Edgeには「ライブ断面」があります。3次元ジオメトリの任意の部分に断面が作れるという機能です。スケッチから形状を作った場合、要するに「スケッチをいじる場合」には、最初の計画が重要になります。計画が悪いと、後々に引きずりますが、後付けで適切な場所に条件を付けることができるのであれば、上手に試行錯誤ができます。

 それに、形状を直接いじることができると同時に、シンクロナスであっても、「フィーチャ」は存在しています。フィーチャ単位で操作することはできるので、“フィーチャ頭”で操作をしていても違和感がないのです。

2.ライブ・ルール

 シンクロナス・テクノロジにおいて、もう1つの大事な特徴は「ライブ・ルール」だそうです。で、そのライブ・ルールとは、なんぞや。

 ライブ・ルールとは、簡単に言えば、「変更する部分と、何らかの幾何関係を持っている部分の関係性を維持したまま、同時に変更する機能」ということになります。

 つまり、ソフトウェアの方で自動的に、「対称」「同心」「同一平面」を読み取ってくれるので、直接形状をいじっても、設計者の意図に合った変更ができる。というわけです。


ライブ・ルールによるモデル修正例

 さらに、どのルールを適用し、どのルールを外すのかということは、作業中にリアルタイムで行うことができるということでした。

 このあたりは、言葉で説明をしても分かりづらいので、説明のための動画を見ていただいた方がよさそうです(以下の動画)。


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