有限要素法は解析要素がバネだと考える:仕事にちゃんと役立つ材料力学(5)(1/3 ページ)
バネの伸びは加えられた力に比例する。伸びた分が「ひずみ」である。部品がバネであると考えればひずみと応力の関係も理解しやすい。
変形があって、応力がある
いささか大ざっぱではありますが、前回までに応力というものを説明してきました。大事なことですので、ここで応力についてもう一度まとめておきます。
次の3点を押さえておいてください。
- 応力とは単位面積当たりの力である。
- 応力の単位はMPa(メガパスカル)が一般的ある。
- 設計で使う応力として、ミーゼス応力と主応力が重要である。
この連載の例題でも示したように、構造物が簡単な形状でかつ単純な荷重状態であれば、手計算で応力を求めることができます。ところが皆さんの設計しているモノはそんなに単純なモノではないのです。手計算で求められない応力をどうやって求めるか。解析(CAE)は応力を求める重要な手段の1つです。
まず今回は、解析の応力チェックについて解説させていただきます。これが今回のテーマへとつながっていきます。
僕のこれまでの経験では、解析を行うとき、応力を見るとまず「大きい」「小さい」と論じる人が多いように思います。応力が発生しているのは、変形が生じているからなのです。ですから、まず、変形が妥当かどうかチェックするのが、まず解析の結果を見るとき最初に行うべきことです。
詳しい解説は別の機会に譲るとして、構造解析の数値解析の代表的な手法である有限要素法でも、まず構造物の変形を求めて、その数値を基にして応力計算します。よって変形が妥当でない限り応力を信じてはいけません。解析結果はまず変形をチェックすることを忘れないでください。
応力は変形しなければ発生しません。一般的に応力は目に見えません。ただし応力を可視化する光弾性試験という方法があります。手法の原理は18世紀当初にすでにあったようです。
。oO 筆者のつぶやき
光弾性試験とは
この連載も「材料力学を人サマに教える」という目的があってのことなのですが、文字と図、という媒体で、人にモノを伝えることの難しさを感じています。最近は大人でも十分楽しめる子供の科学が教育の現場で話題になっています。特に小学校や中学校の先生の工夫には、驚かされるものがあります。まさかと思って調べてみるとありました。
- 光弾性を使った力の教材化:素晴らしいですね。筆者は中学校の先生のようですが、教育に関する熱意を強く感じました。ほかにもたくさんの実験を提案なさっています。ぜひご覧になってみてください。
- 科学実験・製作倶楽部:いまは簡単に光弾性試験が行える装置があるんですね。こういう記事を書いていると僕も日々勉強になります。
- 光弾性応力測定システムGFP1200(レーザー計測):特に「レンチの応力分布」が見事です。ここまでできると、解析結果の妥当性を検討するのに十分な道具ですね。またこの会社の技術情報「自動車ガラスの残留応力計測技術」がPDF形式でアップされています。
- 自動車ガラスの残留応力計測技術(レーザー計測)*pdfファイル:ガラスは解析が難しい分野の素材です。こういう方法があることが分かり、改めて勉強になりました。
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