スバルの新プラットフォームは日本車価格で欧州車の走りを超える:車両デザイン(2/2 ページ)
富士重工業は2025年までに採用する次世代プラットフォームの概要を公開した。“動的質感”と安全性能を向上して「スバル史上最高レベルの総合性能進化」(富士重工業)を実現した。
欧州車並みの走りの質感を日本車の価格で
スバル グローバル プラットフォームは、運転時にドライバーが感じるスムーズさや気持ち良さといった感性に焦点を当てた。具体的には、直進安定性や、騒音の少なさ、揺れのない乗り心地など“動的質感”にこだわり、質の高い走りを実現する。
直進安定性を高めるために、車体とシャシ-の各部位で剛性を1.7〜2倍に向上する。サスペンションなど足回りの強化や低重心化により、応答性を改善。次世代プラットフォームでの走行性能の見直しは、自動運転車としての乗り心地も見据えたものだ。
また、振動騒音をなくすため、車体のねじり剛性を現行プラットフォームの1.7倍に向上するとともに、車体の共振やひずみを分散させる。ねじり剛性は、フレーム構造の最適化やパーツ同士の接合強化によって改善する。
さらに、車体の揺れを現行プラットフォーム比で50%低減し、乗り心地の快適さを高める。サスペンションの緩衝性能を十分に機能させ、車体をたわませないため、サスペンション取り付け部の剛性を改善する。リアスタビライザーは車体に直接取り付けるなどし、路面の凹凸を感じない乗り心地を目指す。
安全性能も大幅に高める。車体の剛性向上や足回りの進化に加えて、重心高を現行比で5mm下げることにより、安定した運動性能を実現。スポーツモデルと同等の危険回避性能をさまざまなモデルに持たせる。
さらに、衝突エネルギー吸収率は現行モデル比で1.4倍に高める。より効率的な衝突エネルギーの吸収を可能にするフレーム構造や高張力鋼板の採用拡大を進めていく。次世代プラットフォームを採用を終える2025年以降の材料置換や高強度化も前提に開発し、将来的にさらに衝突安全性能を引き上げていく。
次世代プラットフォームは、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、電気自動車などのパワートレインにも対応する設計思想とした。1つのプラットフォームを複数車種に展開することにより、開発人員や設備を商品競争力強化に振り向けていく。
今後、次世代プラットフォームは同一の生産設備で生産し、生産効率も向上していく。従来も同一のプラットフォームだったが、異なる生産設備を使用していた。これにより、国内2工場と米国の生産拠点「Subaru of Indiana Automotive(SIA)」で柔軟な生産体制を構築する。
関連記事
- 次期「インプレッサ」はセダンもダイナミック&ソリッド、「ルビーレッド」採用
富士重工業は、「ロサンゼルスオートショー2015」において、主力車種「インプレッサ」の次期セダンモデルをイメージしたコンセプトカー「IMPREZA SEDAN CONCEPT」を初公開した。「東京モーターショ2015」で公開したハッチバックの「IMPREZA 5-DOOR CONCEPT」と同じくデザインテーマは「ダイナミック&ソリッド」だ。 - 量産車の自動運転は2020年、先進安全技術に本気のスバル
富士重工業が東京モーターショー2015で自動運転の開発状況を説明。2020年には量産車で高速道路上での自動運転を実現する計画を明らかにした。自動運転技術を搭載したコンセプトカー、スバル「VIZIV FUTURE CONCEPT」も世界初公開。 - スバルのPHEVコンセプト「VIZIV2」はステレオカメラによる自動運転が可能
富士重工業は、「第84回ジュネーブ国際モーターショー」に出展するプラグインハイブリッド車(PHEV)のコンセプトカー「SUBARU VIZIV 2 CONCEPT(VIZIV2)」の概要を発表。「EyeSight」に代表されるステレオカメラを用いた自動運転技術を搭載しており、その解説映像も公開されている。 - 新型「プリウス」がTNGAの第1号車になった理由
トヨタ自動車が2015年12月に発売する新型「プリウス」。JC08モード燃費で40km/l(リットル)という環境性能だけでなく、従来モデルのプリウスの弱みだった走りの楽しさや乗り心地を大幅に向上している。これは、新型プリウスが第1号車となる「TNGA」プラットフォームが目指す目標でもある。 - 日産のCMFは新車の開発投資を40%削減可能、新型「エクストレイル」から導入
ルノー・日産アライアンスは、車両設計の基礎となるプラットフォームにモジュールコンセプトを持ち込んだ「コモン・モジュール・ファミリー(CMF)」の導入計画やコスト削減効果を発表した。2013年後半以降に日産自動車が発売する「エクストレイル」などの後継モデルから適用される。CMFにより、個々の新車を設計する際に掛かる投資コストを40%削減できるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.