富士重工業が東京モーターショー2015で自動運転の開発状況を説明。2020年には量産車で高速道路上での自動運転を実現する計画を明らかにした。自動運転技術を搭載したコンセプトカー、スバル「VIZIV FUTURE CONCEPT」も世界初公開。
ライバルに先駆け、アイサイト(EyeSight)でいち早く運転支援システムを導入してきた富士重工業。「自動運転」が各社のテーマになっている今回のモーターショーでも、同社のブースは先進安全技術のパイオニア(第一人者)としての自信が垣間見られた。2015年10月28日に行われた「東京モーターショー2015」のプレスブリーフィングに登壇した同社の吉永泰之社長は「アイサイトは運転支援システムとして世界トップレベルの性能を持つと自負している」と語った。
レガシィ アウトバックやフォレスターなどSUVラインアップが北米市場を中心に好調な同社。「この10月の新車販売も前年を大きく超える勢い。このままの勢いが続けば、2015年暦年の北米販売台数が8年連続で対前年プラス、過去最高の60万台を超える見通し。スバルらしい独創的な技術をベースとした商品を長い期間にわたって磨き上げてきた成果ではないか」と吉永社長の声は明るい。
「スバルらしい独創的な技術」として吉永社長が掲げるのが、アイサイトに代表される先進安全技術だ。運転支援システムはプレミアムカー向けの高付加価値技術と思われていた2008年に登場したアイサイトは、その後も着実に進化を遂げてきた。
「アイサイトは2010年のバージョン2で全車速域での衝突回避を可能とし、その後2014年にバージョン3へと進化して世界に先駆け『部分自動運転』を実現した。さらに2015年にはアドバンスドセイフティパッケージの市場投入により、後側方の安全性能を高めた」(吉永社長)。
クルマが安全になることで、もっと運転を、もっと人生を、不安なく楽しむことができる――。同社がアイサイトで目指してきたこの考えは、自動運転でも同じだと吉永社長は説く。「安心と楽しさを目的としたドライバーのための運転支援、それがスバルらしい自動運転だと考える」。
同社ではアイサイトをベースに、センサーを追加して地図データやGPSなどを活用した自動運転の開発に取り組んでいるという。プレスブリーフィングでは、現在開発中の自動運転技術が映像で紹介された。
テストコースでの自動車線変更の様子を映しだしたその映像では、前方に遅い車両がいるケースで、ウインカーで指示すると自動で追い越しを行う自動運転が再現されていた。追い越す際に後側方など車両の周囲状況をカメラやセンサーで確認し、安全を確保しているという。映像では、「右側確認してください。車線変更します」というアナウンスの後、カメラやセンサーによる安全確認後に車線変更を実施。追い抜くと、「左側確認してください。車線変更します」というアナウンスとともに自動で元の車線に復帰した。
「ご覧いただいた通り(自動運転は)着々と開発を進めている。2017年には高速道路での渋滞時追従、2020年には高速道路上での自動運転を量産車で実現する計画。スバルの自動運転にご期待ください」(吉永社長)。
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