2026年7月6〜10日に公開された記事の中から、MONOist編集部が厳選した今週の注目ニュースをお届けします。
国内主要自動車メーカーがそれぞれロボティクス技術の可能性を模索する中、その開発と生産の力学を変える新たな動きが浮上しました。
三菱自動車が2026年7月9日、東京大学発のスタートアップ企業であるHighlandersと、「人とロボットが共に働く新しい産業基盤づくり」に向けた協業に関する基本合意書(MOU)を締結したと発表しました。両社は三菱自動車の工場で活用するヒューマノイドロボットの共同開発と、三菱自動車の京都製作所京都工場でのHighlanders製品の量産化について協議を進め、2027年に生産開始、同年中に月1000台のヒューマノイドロボットの量産を目指す計画です。
Highlandersは、2023年創業のスタートアップ企業で、2025年5月に独自開発した四足歩行ロボット「HLQ Air」のβ版と、ヒューマノイドロボット「HL Human」のプロトタイプを発表しています。三菱自動車は、自動車製造で長年培ってきた量産設計、品質保証、安全設計、機電統合制御技術などのノウハウを提供します。
発表のコメントで三菱自動車工業 取締役会長 兼 代表執行役 CEOの加藤隆雄氏は、「人とロボットが共に働く新しい産業基盤づくりへの挑戦であり、技術と事業の知見を深める貴重な機会になる」と語り、国産ヒューマノイド量産への歩みを進める意気込みを示しました。
では、他の国内主要乗用車メーカーにおけるヒューマノイドやロボティクス研究へのアプローチと、開発動向はどのようになっているのでしょうか。
トヨタ自動車は2005年頃からヒューマノイドロボットの研究開発を開始し、人間がマスター操縦システムで操作する「T-HR3」(2017年)や、AIバスケットボールロボット「CUE」(2018年)、「CUE7」(2026年)などを発表してきました。直近では、AIの強化学習を活用し、シミュレーションでの学習結果を実機に反映させる技術によって、ヒューマノイドロボットの安定した歩行やドリブル動作の習得を進めるなど、より高度な運動制御の研究を深めています。
≪ホンダ」は1980年代から二足歩行ロボットの研究を開始し、国内外の研究をけん引してきた歴史を持っています。当時「20世紀中に自立二足歩行は不可能」といわれていた中で、1996年に人間型自律二足歩行ロボット「P2」を発表し、ロボット工学の学会をはじめ世界に衝撃を与えました。2000年には実用的な二足歩行ヒューマノイド「ASIMO」を発表しました。現在は人間型ロボット単体の開発自体は主軸から外しているものの、工場での細かい作業を可能とする多指ロボットハンドを発表するなど、独自の技術展開を続けています。
ヒューマノイドのハードウェア開発そのものに着目すると、国内の主要乗用車メーカーではトヨタ自動車とホンダの2社が先行する形となりますが、他メーカーでも生産プロセスや周辺領域におけるロボティクス技術の応用展開が進められています。日産自動車は生産ラインへの高度なロボット技術の取り込みを図り、スズキはインフラ管制自動走行システムの研究を行うなど、各社が自社の強みを生かしたアプローチを行っています。
今回新たに三菱自動車による量産化への取り組みが加わったことで、ヒューマノイドロボットの活用は研究開発から、工場の自動化や社会課題の解決を見据えた「実用化」「実稼働」のフェーズへ移行する期待が高まっています。製造業を取り巻く深刻な労働力不足に対し、自動車メーカーが持つモノづくりのノウハウがロボット産業の実用化をどう加速させていくのか、今後の展開が注目されます。
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