人材育成から検査自動化、脱中国まで――DMG森精機欧州最大生産拠点の展望スマート工場最前線(1/2 ページ)

DMG森精機が欧州市場の深耕を図っている。ドイツのフロンテン工場を着々と増強しており、2027年には欧州統括会社の新たな本社がミュンヘンで稼働する。本稿では、フロンテン工場の人材育成の取り組みや今後の展望を紹介する。

» 2026年07月10日 06時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 DMG森精機の欧州最大の生産拠点となるドイツのフロンテン工場。近年、AGVを活用したフローアセンブリラインを導入するなど着々と設備増強を進めており、2026年には新たなトレーニングセンターもオープンした。

 前編ではフロンテン工場におけるモノづくりを中心に紹介した。後編となる本稿では、フロンテン工場の人材育成の取り組みや今後の展望を紹介する。

独「デュアルシステム」で活用、最新設備で若手を引きつける

 2026年2月、フロンテン工場に新たにオープンしたのが、若手育成のためのトレーニングセンターだ。3つのフロアに延べ約4500m2のスペースがあり、最大約150人の研修生を受け入れることができる。

フロンテン工場に新たにオープンしたトレーニングセンター フロンテン工場に新たにオープンしたトレーニングセンター[クリックで拡大]出所:DMG森精機

 トレーニングセンターの役割を理解するために、日本と異なるドイツの教育システムを簡単に紹介したい。ドイツでは10歳まで初等教育を受けると、中等教育ではそれまでの成績や適性に応じて大学進学を前提としたコースや職業訓練校へと進むコースなどに分かれる。その中で、職業訓練校において実施されるのが、“デュアルシステム”だ。

 デュアルシステムは1週間の半分を学生として学校で学び、半分を訓練生として企業で研修を受けるという制度だ。選考をクリアした学生は企業と訓練生契約を結ぶことになり、2〜3年半の期間、学校で学びながら働く。その間は、給与も支払われる。修了試験もあり、合格すると資格が得られ、就職時には強力な後ろ盾になるという。ドイツでは、300以上の職種で実施されている。

新しいトレーニングセンターには最先端の設備などが整備された 新しいトレーニングセンターには最先端の設備などが整備された[クリックで拡大]出所:DMG森精機
DMG MORIフロンテンのノース・コーネリウス氏 DMG MORIフロンテンのノース・コーネリウス氏

 フロンテン工場の新たなトレーニングセンターも、デュアルシステムの訓練生たちが利用する。同工場では金属加工や機械の組み立て、電気配線、さらにロボットを使った自動化システムなどを学ぶことができる。アーク溶接を仮想空間上で体験できる設備など最先端の技術も取りそろえており、既存の従業員の生涯学習の場としても活用する。フロンテン工場自体はデュアルシステムに長年参画しており、今回は従来の施設を刷新した形になる。

 DMG MORIフロンテン 社長のノース・コーネリウス氏は「日本と同様にドイツも人手不足で苦労している。最新鋭の技術を学ぶ機会を与えることで、より多くの若者を引き付けたい」と新たなトレーニングセンターに期待する。

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