あえて歩かせない――準国産ヒューマノイド「D1」登場、現場稼働で日本の勝ち筋へ協働ロボット(1/2 ページ)

ZEALSは日本の屋内環境に適応した準国産の台車型ヒューマノイド「D1」を発表した。医療や製造現場など実際の稼働を通じて独自の物理データを収集。フィジカルAIの社会実装を推進し、2026年度内に累計1万時間の現場稼働を目指す。

» 2026年08月07日 06時45分 公開
[安藤照乃MONOist]

 ZEALS(以下、ジールス)は2026年8月5日、日本の屋内現場での稼働に合わせて設計した、“準国産”ヒューマノイドロボット「D1」を発表した。同日に東京都渋谷区で開催した会見では、開発コンセプトと事業戦略の発表に加えて、D1の実機デモンストレーションも披露した。

 ジールス 代表取締役の清水正大氏は、「今日この日が、日の丸ヒューマノイド産業共創のDay1になる。D1は2026年度内に100台の量産と累計1万時間の現場稼働を目指し、人手不足が深刻化する医療や介護、製造、物流といった現場におけるフィジカルAI(人工知能)の社会実装を推進していく」と意気込みを語った。

動画 会場では「D1」実機とデモンストレーションを披露した[クリックで再生]

5本指の腕を持つ「台車型コンパクトヒューマノイド」

 D1は、日本の屋内空間で人と共存し、具体的な業務を担うことを目的に開発したコンパクトヒューマノイドだ。外形寸法は全高129.3cm(昇降機構の使用で最大159.3cm)、全幅48cm、総重量は110kgである。このサイズについて清水氏は「日本のエレベーターやドア、廊下などに適応するため、一般的な台車型ロボットと比較してコンパクトな設計としている」と説明する。フル充電時のバッテリーは最大約8時間連続で稼働し、4〜5時間で約80%まで充電する。

ヒューマノイドロボットの「D1」 ヒューマノイドロボットの「D1」[クリックで拡大]
D1のスペック D1のスペック[クリックで拡大]出所:ジールス

 上半身には、片腕当たり可搬重量5kgとなる5本指の双腕アームを搭載する。アームの全軸にトルクセンサーを組み込んでおり、人や物体との接触時に動作を停止する。センサー類としては、台車部にLiDARを2台、超音波センサーを3台、頭部と台車部に深度カメラを1台ずつ、機体前後に魚眼カメラを2台、左右の手首に広角カメラを2台搭載。これらを用いて、自己位置推定と自律移動を行う。

 移動機構については、近年注目を集める二足歩行ではなく台車型を採用した。その理由について清水氏は「われわれが目指すのはパフォーマンス型ではなく、病院や介護施設、工場といった多様な人が行き交う実現場において稼働することだ。台車型を採用することで転倒リスクを物理的に排除できる。加えて、二足歩行の姿勢制御に膨大なデータ収集コストや計算資源を割くのではなく、実務に直結する手を用いた作業にシステムのリソースを集中したい」と語った。

片腕当たり可搬重量5kgとなる5本指の双腕アーム 片腕当たり可搬重量5kgとなる5本指の双腕アーム[クリックで拡大]
台車にセンサーやカメラ類を搭載している 台車にセンサーやカメラ類を搭載している[クリックで拡大]

 また、D1は生成AIによる会話機能に加えて、人と関わる際にうなずきや周囲を見渡すような非言語コミュニケーションの動作機能も加えた。「人間と同じ空間で違和感なく共存し、受付や案内といったインタラクションを伴う業務も担う設計とした」(清水氏)という。

 実機を用いたデモンストレーションでは、医療現場を想定した作業を披露した。カート上に置かれたバンドエイドの箱を5本の指でつかんでトレイに入れ、そのトレイを持ち上げて運んで人に手渡すという一連の動作を実演した。

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