MONOist 2023年度の取り組みを振り返ってポイントは何ですか。
高田氏 大きく分けて2つのポイントがある。1つ目はMI推進チームが製品開発の実務経験者だった点だ。同チームのメンバーがオプティカルソリューション事業部における製品開発の経験を持っていたため、研究開発の現場で直面する具体的な課題やプロセスを理解しており、現場のニーズに則したサポートができた。
2つ目はMIの社内事例を増やすため、MI推進チームが複数のPoCテーマに伴走し最後までやりきった点だ。1種類のテーマだけだとそのテーマがつまずいたときに活動全体が止まってしまうため、複数のテーマでPoCを進め、目標達成/未達を問わず最後までやりきることを重視した。MI推進チームが「製品開発経験者」かつ「専任」のチームだったからこそできた伴走型のMI推進だ。
MONOist 2024年度の取り組みについて教えてください。
高田氏 2023年度のPoCの結果から正式採用となったMIツールの活用促進を行っている。オプティカルソリューション事業部の製品開発チームにMIを浸透させるため、MIツールを扱える人材を増やす勉強会を同チームと合同で開催している。2023年度から引き続きPoCテーマに伴走しながら、より技術的に高難度なテーマへの挑戦にも力を入れてきた。
また、2023年度はオプティカルソリューション事業部の予算でMIツールの契約を行っていたが、PoC実績が社内で評価され、2024年度からは「開発DX共通予算」を使ってMIツールの契約が行えるようになり、ライセンス数を増やすことができたのが大きな進展だった。これにより、予算を計上していなかった他事業部もMIツールを共同利用できるようになりオプティカルソリューション事業部からスタートしたMI推進活動が大きく社内に広がった。他事業部の製品開発チームにもPoCの実績を紹介するとともに、MIについて互いに学び合える社内コミュニティの形成に取り組んでいる。
MONOist 2025年度を含め今後の取り組みについて教えてください。
高田氏 2024年度に行った取り組みを継続してMI人材の育成を目指すとともに、さまざまな開発DX施策を複合的に進めることで、MIに取り組みやすい実験室環境の構築を目指していく。
定常業務を効率化する「実験/測定作業の自動化」「測定装置のオンライン化」、新製品提案力を強化する「新規案件探索ワークフロー構築」「知識データベース構築」など、さまざまな開発DX施策によって開発業務全体のデジタル化を進め、活用しやすいデータを自動で蓄積できる仕組みをつくることで間接的にMIの効果を最大化し、最終的な目標である実験業務の高効率化/脱属人化の達成を目指していきたい。
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