アキレスは、高分子系有機材料の分野において、マテリアルズインフォマティクスを活用して材料開発を効率化する技術を山形大学と共同開発した。特性の向上や製品開発の効率化、迅速化に貢献する。
アキレスは2025年4月21日、高分子系有機材料の分野において、マテリアルズインフォマティクス(MI)を活用して材料開発を効率化する技術を山形大学と共同開発したと発表した。
MIは、機械学習(ML)などのAI(人工知能)技術やデータサイエンスを、新規材料の探索、材料物性の予測に活用し、材料開発の効率化や特性改善の迅速化を図るアプローチだ。
今回開発した技術は、「物性予測モデル」と「成功/失敗予測モデル」の2つの予測モデルを軸としている。
物性予測モデルでは、ガウス過程回帰と呼ばれる方法で、高精度に実験結果の物性を予測できるようにした。これにより、求める物性を持つ材料を素早く探索できるようになった。
成功/失敗予測モデルは、ランダムフォレストというアルゴリズムで実験結果を分類することで、成功率を予測できる。そのため、成功率の高い実験を優先し、無駄な実験を減らせるようになった。また、分類する過去データに成功例だけでなく失敗例も加えたことで、予測精度が上がっている。
開発した技術の有効性を、ポリウレタンフォームの実験データで検証したところ、これまでの開発方法では1年以上かけても得られなかった物性が、3カ月程度で得られるようになった。
MIによる材料開発技術は、金属や無機材料の分野では既に活用されている。しかし、高分子系有機材料の分野では導入事例が少なく、今回開発した技術は成功/失敗予測モデルを採用した先進的な取り組みといえる。また、過去の実験データやノウハウの学習をベースとした、技能や熟練度を問わない仕組みであるため、経験の少ない研究者でも高い成果を得られる。
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