ワークポートが、職場の「ジェンダーハラスメント」についての調査結果を発表した。「職場は男女平等ではない」と47.8%が考えており、27.6%が「ジェンダーハラスメントを受けたことがある」と回答した。
総合転職エージェントのワークポートは2023年3月1日、職場の「ジェンダーハラスメント」の実態に関するアンケート調査結果を発表した。同調査の対象者は、同社を利用している20〜40代のビジネスパーソン男女で、446人から有効回答を得た。
まず、現在(または直近の)勤務先は男女平等だと感じるか尋ねたところ、「まったくそう(男女平等だと)思わない」が16.6%、「あまりそう思わない」が31.2%となり、合わせて47.8%が職場が男女平等ではないと感じていることが分かった。
男女平等だと思わない理由のうち、女性が不利と考える人からは、「男性の仕事、女性の仕事と完全に区分けされているから」「女性社員はアシスタント的な仕事が多いから」「お茶くみや掃除を女性のみにさせる風習があるから」などの意見が寄せられた。女性ということで、与えられる仕事や役割が制限され、キャリアアップしにくいことが浮き彫りになっている。
また、男性が不利と考える人からは、「女性躍進を進めるあまり、女性であることが優位に働いている気がするから」「男性は育休や時短勤務の利用がしづらいから」などの意見があった。
次に、「職場でジェンダーハラスメントを受けたことがあるか」と尋ねた。その結果、「はい(受けたことがある)」と27.6%が回答した。前問で職場が男女平等と思わない人が半数弱いたが、その要因として「ジェンダーハラスメント」が該当すると考えられるケースが約3割近くあると言えそうだ。
ジェンダーハラスメントを受けたことがあると回答した人に、誰からジェンダーハラスメントを受けたか尋ねたところ、最も多かったのは「上司」で84.6%を占めた。次いで「同僚」の27.6%、「顧客、取引先」の18.7%となっている。
ジェンダーハラスメントの具体的な内容には、「女性らしい服装を心掛けるように言われた」「お茶出し、電話の受付、掃除は女性がやるように言われた」「男性は残業を強要される」「男だから泣き言を言わず働けと言われた」などがあった。性別による役割分業や、女性らしさ、男性らしさを強要されるというコメントが多く寄せられている。
続いて、ジェンダーハラスメントを受けたことがあると回答した人に、被害を受けた際にどうしたかを尋ねた。その結果、トップ3は「誰にも相談せず我慢」(48.8%)、「転職、退職」(40.7%)、「同僚に相談」(19.5%)となった。
1位の「誰にも相談せず我慢」は、ジェンダーハラスメントを上司から受けたと回答した人が84.6%に上ったことからも、パワーバランスを理由に泣き寝入りせざるを得なかった人が多いようだ。また、2位の「転職、退職」から、働き手の長期就業意欲にジェンダーハラスメントが影を落とすと言えそうだ。
次に「職場にジェンダーハラスメントの相談窓口があるか」を尋ねると、「はい(窓口がある)」が41.9%、「いいえ(窓口がない)」が35.2%となった。「分からない」も22.9%おり、認知度に差があることがうかがえる。
職場に相談窓口があると回答した人に、「ジェンダーハラスメントの相談窓口は社員に周知されているか」と尋ねたところ、「まったく周知されていない」が3.2%、「あまり周知されていない」が15.5%となり、18.7%が周知されていないと回答した。
また、職場に相談窓口があると回答した人に、「ジェンダーハラスメントの相談窓口は利用しやすいか」と尋ねた。その結果、「かなり利用しにくい」が18.7%、「あまり利用しにくい」が33.2%となり、半数を超える51.9%が利用しにくいと考えていることが分かった。
利用しにくい理由として、「利用方法がそもそもよく分からない」「窓口のある場所が分からない」など、周知されていないので使うのが不安という意見があった。また、「担当者の口が軽く、守秘義務が守られないから」といった、通報者が守られないという意見も多数寄せられている。
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