72%が管理職になりたいとは思わない、理由は「出世欲がないから」キャリアニュース

識学が「管理職に関する調査」の結果を発表した。「管理職になりたいとは思わない」と72%が回答し、その理由の1位は「出世欲がないから」だった。また、管理職の人に、苦労していることを尋ねると「部下の指導や育成」が最も多かった。

» 2023年02月24日 10時00分 公開
[MONOist]

 識学は2023年2月9日、「管理職に関する調査」の結果を発表した。同調査の対象者は、全国の従業員数10人以上の企業に勤める20〜59歳の男女会社員で、管理職150人、非管理職150人の合わせて300人から有効回答を得た。

 まず、現在管理職ではない人に「管理職になりたいと思いますか」と尋ねたところ、72.0%が「なりたいとは思わない」と回答した。「(給与面など)条件によってはなりたいと思う」は20.0%で、「なりたいと思う」は8.0%にとどまっている。

キャプション 管理職になりたいと思うか(対象:管理職ではない人) 出所:識学

 これを男女別に見ると、管理職に「なりたいと思う」と回答したのは、男性は12.0%で、女性はわずか4.0%だった。子どもの有無で見ると、「なりたいと思う」の回答割合は、子どもがいる人は10.0%、子どもがいない人は6.3%だった。

キャプション 管理職になりたいと思うか(対象:管理職ではない人。男女別、子どもの有無別)[クリックで拡大] 出所:識学

 管理職ではない人に「なりたくない理由」を尋ねたところ、トップ3は「出世欲がないから」(50.9%)、「責任が伴うから」(50.0%)、「仕事量が増えるから」(42.6%)となった。「給与が伴わないから」(23.1%)は7位となっており、給与面は大きな理由ではないようだ。また、「現状に満足しているから」(9.3%、8位)、「今やりたい仕事ができなくなるから」(7.4%、10位)も比較的低く、根本的に出世をしたくないという人が多いことがうかがえる。

キャプション 管理職になりたくないと思う理由(対象:管理職ではない人)[クリックで拡大] 出所:識学

 「管理職になりたくない具体的な理由」には、「性格的に向いていない」「人の上に立つような人間ではない」などが挙げられており、管理職になる自信がないという声が多く見られた。

管理職が苦労していること、やりがいに思うことは

 続いて、現在管理職の人に「管理職の立場で苦労していること」を尋ねると、「部下の指導や育成」(49.3%)が最も多かった。次いで「責任が重い」(39.3%)、「部下とのコミュニケーション」(36.7%)、「上司と部下との板挟み」(34.0%)となっている。管理職ではない人の「なりたくない理由」の上位にも挙がっていた「責任の重さ」はもちろん、上司や部下との人間関係に苦労していることがうかがえる結果となった。

キャプション 管理職の立場で苦労していること(対象:管理職)[クリックで拡大] 出所:識学

 次に「管理職の立場でやりがいに思うこと」を尋ねた。トップ3は「やりたいことができること」(38.0%)、「自分が成長できる」(36.7%)、「チームで成果をあげること」(36.0%)となった。人間関係の苦労はあるものの、チームとして成し遂げることも大きなやりがいになっているといえる。また、これらの回答は「給与が上がる」(29.3%)よりも回答割合が高く、お金では得られないものをやりがいに感じていると言えそうだ。

キャプション 管理職の立場でやりがいに思うこと(対象:管理職)[クリックで拡大] 出所:識学

 また、管理職の人に、自分の役割を果たすために十分な権限があると感じているかを尋ねたところ、「感じる(やや感じるも含む)」が54.7%で最も多かった。「どちらでもない」は26.0%、「感じない」は19.3%となっている。

キャプション 管理職として、自分の役割を果たすために十分な権限があると感じるか(対象:管理職) 出所:識学

 次に、全員に「女性管理職を増やす社会全体の動きについて、どう思いますか」と質問したところ、「賛成(やや賛成も含む)」は59.0%で、「どちらとも言えない」は34.3%、「反対(やや反対も含む)」は6.7%だった。

キャプション 女性管理職を増やす社会全体の動きについてどう思うか(対象:全員) 出所:識学

 「賛成」の理由には「人材は多い方が良い」「性別で能力が低いというような風潮が払拭(ふっしょく)できて好ましい」などのコメントがあった。「どちらとも言えない」「反対」の理由には「性別にとらわれずにみんなが活躍できる社会が良いと思う」「管理職を増やす=女性活躍とは思わない」などのコメントが寄せられている。

 また、全員に「女性の管理職を増やすために、何が必要だと思いますか」と尋ねた。トップ3は「子育てや介護などの両立支援」(54.7%)、「女性が不利にならないような人事評価の方法」(50.0%)、「育休や在宅勤務などの社内制度を設ける」(43.3%)となった。

キャプション 女性の管理職を増やすために必要だと思うこと(対象:全員)[クリックで拡大] 出所:識学

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