東北大学は、水中でも駆動する、ウオータープルーフ仕様のバイオ発電パッチを開発した。従来のバイオ発電パッチよりも10倍以上長く発電を維持し、水中で電流値が低下しても水から取り出せば数10秒で再使用が可能だ。
東北大学は2022年8月22日、水中でも駆動する、ウオータープルーフ仕様のバイオ発電パッチを開発したと発表した。従来のバイオ発電パッチよりも10倍以上長く発電を維持し、水中で電流値が低下しても、水から出せば数十秒で再使用が可能だ。
このバイオ発電パッチは、東北大学がサンアローと共同開発した糖(グルコース)とO2(酸素ガス)から発電するバイオ発電パッチ「BIPP」を改良したものとなる。
バイオ発電パッチのO2還元カソードの表面に、酸素透過性の高いシリコーンゴム(PDMS)を接合して一体化し、皮膚に貼付した際の変位に追従する機械強度と柔軟性を備えた。また、接合部にO2タンクとして機能する10μL/cm2以下の微小スペースを形成し、水中での発電維持を可能にした。
PDMS薄膜はパッチ内部からの水分蒸発も防止するため、指に巻いた状態で3時間以上も安定的に発電した。また、カソードを水に浸した状態で電流を流す実験では、O2還元反応の性能低下が抑制され、従来のバイオ発電パッチより10倍ほど長く発電状態を維持した。パッチ使用時の電流値は数10μA程度が一般的だが、その場合は1時間以上、発電を維持すると予想される。また、タンク内のO2が尽きても、水から取り出すことで、O2が繰り返し再充填されることも示された。
開発した新構造のO2還元カソードを実装することで、医療や美容に効果のあるバイオ発電パッチを、水仕事や入浴中にも継続して利用可能になる。口腔内や体内で利用するバイオ発電デバイスの開発も期待される。
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