「クルマを好きになって」「おかしいと思ったら声を上げて」、入社式のメッセージ自動車業界の1週間を振り返る(2/2 ページ)

» 2022年04月02日 08時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
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「電動化のための電動化」にならないサービスに期待

 さて、今週公開した記事についても紹介します。バッテリー交換式の電動バイクに関して発足した新会社について書いた日本でも電動バイクがバッテリー交換式で利用可能に、二輪4社とENEOSで新会社です。

 EV(電気自動車)は充電器を車両に接続して充電し、待ち時間が発生しますね。バッテリー交換式の電動バイクは、充電済みのバッテリーと交換することで充電の待ち時間なく乗ることができるのです。

 日系二輪車メーカー4社とENEOSホールディングスの新会社「Gachaco(ガチャコ)」によって、2022年秋から「街中のバッテリー交換ステーションで、電動バイクの駆動用バッテリーを交換しながら走る」という使い方が日本で実現するのです。

 交換式バッテリーのバイクは台湾の二輪車メーカーが製品化で先行していますが、ホンダも2017年ごろから取り組んでいます。郵便配達に使われている電動バイク「BENLY e:(ベンリィ イー)」を見かけたことがある方も多いかもしれません。このベンリィ イーこそがバッテリー交換式のバイクなのですが、街中のバッテリー交換ステーションでバッテリーを交換する使い方はまだ日本では始まっていませんでした。

 ガチャコが提供するバッテリーシェアリングは2022年秋スタートということもあり、まだ確定していないことも多いようです。しかし、気になることが幾つかあります。1つは、料金です。バイクの中でも原付は車両価格が安く、四輪車と比べて燃費がとても良好であることが大きな強みでした。

 ホンダはインドでバッテリー交換式の電動リキシャ(三輪タクシー)を走らせる中で、電動リキシャが内燃機関のリキシャよりも車両価格を安く抑えることができ、燃料代やメンテナンスなどのランニングコストが電動リキシャと内燃機関リキシャが同等になる見通しをつけました。そうでなければ、ユーザーには電動車を選ぶメリットがありませんよね。ガチャコも日本で同じようなメドをつけられるでしょうか?

 もう1つの気になる点は、バッテリー交換ステーションで交換用のバッテリーを充電するための電力です。ホンダの交換式バッテリーとバッテリー交換ステーションは、発電量の変動が大きい再生可能エネルギーの電力をためておき、小分けにして使えるようにするというのがもともとのコンセプトでした。

 ガチャコは使用する電力について、再エネも視野に検討しますが、重視するのは電力のコストであるようです。再エネでなければ、ホンダが本来描いていたコンセプトの一部が失われ、メリットはユーザーが充電の待ち時間なく乗れることだけになってしまいます。

 どのようにして発電された電力で電動車を走らせるのか、自動車業界は激しく議論し、「電動化は目的ではなく手段である」という意見も度々発信されてきました。また、ただでさえ燃費が良く、カーボンニュートラルに資するはずの原付を、なぜ電動化しなければならないのか、という意見も二輪車業界から聞こえました。電動化のための電動化にならないかどうか、ガチャコのサービスに注目したいと思います。

→過去の「自動車業界の1週間を振り返る」はこちら

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