AIを活用して、医薬品の効果に影響を与えるバイオマーカーを探索医療機器ニュース

日立製作所は、未知のバイオマーカー候補を高精度に検出する新開発のAIを活用した「Hitachi Digital Solutions for Pharma/バイオマーカー探索サービス」の提供を開始した。より効果の高い医薬品開発や、開発期間の短縮に貢献する。

» 2019年10月21日 15時00分 公開
[MONOist]

 日立製作所は2019年10月4日、AI(人工知能)を活用し、医薬品の効果に影響を与える重要因子(バイオマーカー)を探索する「Hitachi Digital Solutions for Pharma/バイオマーカー探索サービス」の提供を開始した。

 同サービスでは、治験などで取得した医療データを医薬品メーカーに提供してもらい、それらのデータを新規開発のAIを用いて日立のデータサイエンティストが分析する。数百億以上の因子と数式の組み合わせパターンの中から、医薬品の効果を予測できる定式化された指標を、バイオマーカー候補として高精度に検出・提供する。

 医薬品メーカーは同サービスの活用により、バイオマーカー候補の探索において、統計処理のための時間が必要なくなり、バイオマーカーの検証や考察に注力できる。また、医薬品の奏効および非奏効を高精度に予測できる指標や、病気の予後を予測する指標も提供可能なので、これらの指標をバイオマーカー候補として、適した治療法を選択するための患者のグループ分けに利用できる。

 同サービスで用いるAIには、同社独自のディープラーニング技術を導入している。同技術は、人に匹敵するレベルで思考可能で、人体の遺伝子情報や電子カルテなどの医療データから医薬品の効果に関連する因子を抽出し、それらの因子から簡便な数式を組み立てて、その効果を表す指標を自動で生成する。これにより、新たなバイオマーカー候補を高精度に検出し、効果の高い医薬品の開発や開発期間短縮に貢献する。

 さらには、肥満を表す指標であるBMIや腎機能を表す検査値のクレアチニンクリアランスなど、複数の因子を組み合わせた計算によって得られる医学的な指標を、人を介さずにAI自らが発見していくことも期待される。

 Hitachi Digital Solutions for Pharmaでは、バイオマーカー探索サービスの他にも、治験情報提供サービス、MR配置シミュレーションサービス、関連遺伝子探索サービスなどを提供している。同社では今後、サービスメニューを拡充していく。

photo 新開発AIの特徴 出典:日立製作所

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