GEヘルスケア・ジャパンが2019年の成長戦略について説明。同社 社長兼CEOの多田荘一郎氏は、医療業界を取り巻く課題を挙げた上で「これらを解決するための社会実装をどうしていくかが重要だ。当社は、IoTやAI、協業による価値創造などで社会実装を進め、課題解決に取り組みたい」と語った。
GEヘルスケア・ジャパンは2019年4月10日、東京都内で会見を開き、2019年の成長戦略について説明した。同社 社長兼CEOの多田荘一郎氏は、高齢化による人口動態の大きな移行、循環器疾患を原因とした要介護の増加、併存の疾患の増加、社会保障関連の制度改革など医療業界を取り巻く課題を挙げた上で「これらに対する課題認識は業界共通のものだが、それを解決するための社会実装をどうしていくかが重要だ。当社は、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、協業による価値創造などで社会実装を進め、課題解決に取り組みたい」と語った。
同社が属するGEグループは現在、巨額の赤字を抱えるなど経営危機が問題になっている。GEヘルスケア・ジャパンを含めたヘルスケア部門も、売却対象として何度も報道されている状況だ。これを踏まえて多田氏は「GEがいろいろと問題を抱えていることは確かだ。しかしそんな状況下でも、われわれが何のために働いているのかを考えれば、医療課題解決をただ提案するだけでなく、着実に社会実装できるようにしていかなければならない」と強調する。
会見では、医療課題解決の社会実装に向けた取り組みについて、大学や研究機関との連携や日野工場(東京都日野市)におけるスマート化、そして日野工場で培った知見を病院経営に生かすサービスなどについて紹介した。
大学や研究機関との連携では、国内大学とのAIを中心とした共同研究講座の開設、慶応大学とのオープンデータプラットフォームの構築、国立循環器病研究センターとの共同研究、ディープラーニング(深層学習)の活用で画質を高めCTの被ばく量を抑える「TrueFidelity」の開発などの成果が得られているという。GEヘルスケア・ジャパン 執行役員 アカデミック本部長の松葉香子氏は「日本におけるAIの社会実装はまだ加速する余地がある。当社の『Edisonプラットフォーム』を活用して、医療分野におけるAIの社会実装を後押ししたい」と語る。
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