LIXILが高齢者施設の入居者の排便管理をAI技術でサポートする「トイレからのお便り」について説明した。排便のタイミング、便の形と大きさをAI技術により自動で判定、記録し、介護スタッフが詰める施設のステーションで入居者の排便状況を一括確認できるようにする。
LIXILは2019年9月25日、東京都内で会見を開き、高齢者施設の入居者の排便管理をAI(人工知能)技術でサポートする「トイレからのお便り」について説明した。排便のタイミング、便の形と大きさをAI技術により自動で判定、記録し、介護スタッフが詰める施設のステーションで入居者の排便状況を一括確認できるようにする。研究開発中の技術で商品化時期は未定だが、2020年春ごろに高齢者施設へ一部導入しての実証実験を始める計画だ。開催中の「第46回 国際福祉機器展(H.C.R.2019)」(2019年9月25〜27日、東京ビッグサイト)でも展示しており、来場者からの意見も募りたい考え。
排便の状態は人の日常の体調を示す目安になることが知られている。特に、高齢者施設では、入居者である高齢者の腸閉塞や下痢による脱水症状を防ぐことを目的に、介護スタッフがさまざまな介助を行う傍らで、入居者それぞれの排便の管理、記録を行っている。ただし、この排便管理の作業は、目視で確認し、手書きで記録するのが一般的だ。
LIXIL 理事でLIXIL Water Technology JAPAN デザイン・新技術統括部長を務める白井康裕氏は「これらの管理作業は、介護スタッフにとっても、入居者にとっても大変なことだ。介護スタッフとしては、排便状況を抜け漏れなく把握したい一方で、確認作業を減らして入居者の尊厳に配慮したいと思っている。入居者にとっても、他人に便を確認されることへの心理的な抵抗があるし、認知症の入居者の場合には便を流してしまい確認作業そのものを行えないこともある」と語る。
「トイレからのお便り」では、便座の裏側に組み込んだカメラとLEDモジュールを用いて、排せつした便の形状を撮影し、AI技術によって便の形と大きさを自動で判定。排便の日時と併せてその判定結果を記録してステーションに集約する。介護スタッフはこの排便情報などを基に、適切な介護を行えるようになる。目視と手書きで行われていた排便記録が自動化されることで「入居者のQOL(生活価値)の向上も可能になる」(白井氏)という。
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