ただし「トイレからお便り」を実現するためのAI技術の開発には高いハードルがあった。学習データとなる排せつした便の画像が通常では手に入りにくい上に、一定レベル以上の認識精度を持つAIのアルゴリズムを生成するには大量の画像が必要になるからだ。白井氏は「今回はLIXIL社員の自主的な協力を得ることで、約3000の画像を収集することができた。入手困難な貴重なデータだ」と強調する。
AIによって判定する便の形と大きさの内、形については国際指標となっているブリストルスケールの7分類を活用できるように、専門家と連携しながら開発を進めている。「収集したそれぞれの便の画像に対して、ブリストルスケールの7分類を割り当てる形でラベリングを行った。こういった取り組みは業界でも初の試みになるだろう」(白井氏)という。
なお、3000の画像から生成したAIによる自動判定の精度は約80%になる。これは、高齢者施設のスタッフへの聞き取りで得た「5つの記録の内4つの記録が正しいなら実用上の問題はない」という意見に基づく開発の目標値として達成したものだ。今後は、2020年春から始める実証実験を経てさらに判定精度を高めて行きたい考えだ。
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