積層チップAIカメラで店舗を監視、ソニーセミコンが棚運用向上や分析を提案NRF 2025

ソニーセミコンダクタソリューションズは、流通小売業向けイベント「NRF 2025 Retail's Big Show」に出展し、エッジAIセンシングプラットフォーム「AITRIOS」を使い、小売り店舗の棚の確認やリテールメディアの効果測定を簡単に行えるソリューションを紹介した。

» 2025年01月20日 06時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 ソニーセミコンダクタソリューションズは、流通小売業向けイベント「NRF 2025 Retail's Big Show」(2025年1月12〜14日、米国ニューヨーク Jacob K. Javits Convention Center)に出展し、エッジAIセンシングプラットフォーム「AITRIOS(アイトリオス)」を使い、小売り店舗の棚の確認やリテールメディアの効果測定を簡単に行えるソリューションを紹介した。

 ソニーセミコンダクタソリューションズでは2021年にAI(人工知能)カメラを活用したセンシングソリューションの効率的な開発と導入を可能にするAITRIOSのサービス開始を発表。その重要な用途の1つとして小売業向けの提案を進めている。

 今回のNRF 2025では、AIカメラによって、店舗のディスプレイや棚のどの部分を見ているのかという分析ソリューションや、棚の商品が取られてなくなった状況を把握し、販売機会損失を減らすソリューションなどを紹介した。

photophoto 店舗内に設置されたイメージのAIカメラ(左)。その情報からカメラ内でディスプレイや棚のどの部分を見たのかを分析し、データをディスプレイに表示することができる(右)[クリックで拡大]
photophoto 棚で一部商品が少なくなっている状況(左)をAIカメラで分析し、どの部分が少ないかをディスプレイに表示(右)[クリックで拡大]

 また、米国のデジタルサイネージ用のCMS(Contents Management System)を展開するZynchroとコラボレーションを行い、AIカメラ情報を利用し、人が見ているときはメニューを表示し、見ていないときはCMを流すというデモなども紹介した。「リテールメディアの効果向上は重要なポイントであり、AIカメラを組み合わせることで、来場者の利便性と広告の効果向上の両立が可能になる」(ブース説明員)。

photophoto 人が見ている状況ではメニューを表示するが(左)、AIカメラをふさぎ、人が見ていない状況では広告を流すことが可能だ(右)[クリックで拡大]

 同様のソリューションはカメラと分析システムなどを使えば行うことができるが、AITRIOSはソニーセミコンダクタソリューションズが開発、生産しているイメージセンサーにAI処理を内蔵したインテリジェントビジョンセンサーを活用している点が特徴となる。通常はイメージセンサーとAIを稼働させるチップは別だが、ソニーでは画素チップとAIロジックチップを一体化して積層したセンサーとしており、情報処理のためのコンピュータシステムを別に用意する必要がなく、カメラシステム自体もコンパクト化が可能だ。システムトータルとしての低コスト化にも貢献するという。

 「小売業で店舗監視を行うためには数多くのカメラの設置が必要になる。そのための1つ1つのシステム規模が大きくなれば、それを構築する負荷やコストも非常に大きくなる。AITRIOSを使うことで、コンパクトに高度な店舗監視が実現できる」(ブース説明員)

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(取材協力:パナソニック コネクト)

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