大阪大学は、骨芽細胞を生きたままナノレベルで観察し、骨の素となる基質小胞が運搬、分泌される過程を解明したと発表した。骨粗しょう症、歯周病などの病態解明や治療法の開発につながることが期待される。
大阪大学は2019年7月4日、骨芽細胞を生きたままナノレベルで観察し、骨の素となる基質小胞が運搬、分泌される過程を解明したと発表した。同大学大学院歯学研究科 教授の村上伸也氏らと、産業技術総合研究所(産総研)、ライオンの共同研究グループによる成果だ。
研究グループは、産総研が独自開発した走査電子誘電率顕微鏡(SE-ADM)と超解像蛍光顕微鏡を併用し、培養細胞が基質小胞を形成する過程の可視化に成功した。
その結果、細胞内に蓄積した基質小胞が、細胞内の不要物を分解するリソソームによって運ばれ、細胞外に分泌されるという、骨形成の初期過程が明らかになった。
基質小胞は1967年に発見されたが、生細胞を直接観察して詳細に解析することが難しく、骨組織形成の初期過程については、仮説レベルの研究にとどまっていた。今回の成果により、骨や歯などの硬組織が形成されるメカニズムへの理解が深まり、骨粗しょう症、歯周病などの病態解明や、治療法の開発につながることが期待される。
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