MONOistのオートモーティブフォーラムで2018年に公開された記事の中から、年間ページビュー(PV)のトップ10を振り返ります。
2018年も自動車に関してさまざまなニュースが飛び交いました。新型車のお披露目、今後の製品開発のロードマップ、自動運転技術や電動化などさまざまな分野での新技術に加えて、自動車メーカーとサプライヤーの間での事業再編、完成検査に関する複数の自動車メーカーの不適切な行為まで、話題が尽きない1年でした。
MONOistのオートモーティブフォーラムでも、さまざまな記事を掲載してきました。2018年に公開された記事の中から、年間ページビュー(PV)のトップ10を振り返ります。
ランキングの中からトップ3を詳しく振り返ります。第1位は、燃費と排ガス測定における日産自動車の不適切な行為に関する7月のニュースでした(※1)。日産自動車は2017年9月に、完成検査員の資格を持たない社員が完成検査を実施していたことを公表しました。完成検査員の資格は日産自動車の社内規定ですが、完成検査は自動車メーカーが国土交通省に届け出た通りに実施する必要があります。検査員の認定制度も届け出内容の1つだったため問題になりました。
(※1)関連記事:1カ所だけ不正がなかった日産九州工場、分かれ目は「専門家がいたかどうか」
一連の問題について、日産自動車は国土交通省から業務改善指示を受け、社内のさまざまな事業を対象に法令順守の状況を自主点検しました。SUBARU(スバル)の事例を受けて完成検査の抜き取り検査に重点をおいて調査した結果、完成検査での燃費と排ガスの抜き取り測定試験の不正が判明しました。
国内6カ所の工場のうち、日産自動車の九州工場でのみ不正が起きていませんでした。これについて、山内氏と常務執行役員 生産事業本部 日本地域担当の常務執行役員である本田聖二氏は「完成検査員出身で、完成検査の工程について詳しい知識と技能を持った監督者が同工場にいたこと」を理由に挙げました。「他の工場の監督者は完成検査員の経験がなく、検査がおかしいことに対する勘が働かなかったのではないか」(山内氏)ということです。
日産自動車の九州工場以外の工場の管理者と監督者では、完成検査の実施状況について把握できていなかったのが実情だったそうです。本田氏は会見で「現場管理や品質管理の人材を、エンジニアレベルから監督者までリソースを適正に割り当てなければならない。常日頃から業務を見ることができる体制を作らなければならなかった。日本の生産事業の弱みの克服に向けて、注力して取り組んでいく」とコメントしていました。
その後、日産自動車は、2018年12月にも新たにリコールを届け出ました(※2)。これまでの完成検査問題を受けて再発防止策の浸透を自主点検する中で、合否判定が不明確な可能性のある検査を実施していたという証言を完成検査員から得られたため、リコールを実施します。日産自動車は2017年10月以降、一連の問題で合計42車種、114万3540台にリコールを実施していることになります。
(※2)関連記事:「やっちゃいけないって言われてない」、作業指示はどこまで必要なのか
日産自動車は、一連の完成検査問題を受けて、職場環境の改善や老朽化した検査設備の更新などを対象に、今後6年間で1700億〜1800億円の投資を計画しています。また、人手不足による不適切行為が繰り返されるのを防ぐため、生産技術など工場の人員を2018年度で670人増員します(※3)。「この計画をまっしぐらにやっていきたい」(日産自動車)という姿勢です。
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