トヨタ自動車は主要な電子部品事業をデンソーに集約する検討を始めた。2019年末をめどにトヨタ自動車 広瀬工場が担う電子部品の生産をデンソーに移管する方向で協議している。2022年以降は電子部品の量産開発機能もデンソーに集約する。
トヨタ自動車は2018年6月1日、主要な電子部品事業をデンソーに集約する検討を始めたと発表した。2019年末をめどにトヨタ自動車 広瀬工場が担う電子部品の生産をデンソーに移管する方向で協議している。2022年以降は電子部品の量産開発機能もデンソーに集約する。
車載用半導体や電子部品で高い専門性を持つデンソーに事業を集約することにより、スピーディーかつ競争力のある開発・生産体制を構築。限られたリソースを有効に活用することで、グループ全体で競争力を向上させる。
現在、トヨタ自動車の電子部品事業は、先行開発と量産開発、生産をデンソーとトヨタ自動車の両方で行っている。グループ内の重複業務を解消して生まれたリソースを新領域に振り向けながら、トヨタグループ全体の競争力を向上していく。
広瀬工場で研究開発と生産を行っているのは、ハイブリッド車のパワーコントロールユニット(インバーター、昇圧コンバーター、DC-DCコンバーター)やその構成部品の半導体、エンジンコントロールユニットなどの電子部品だ。
従業員数は1600人で、900人が生産部門に、700人が開発部門に所属している。生産部門の人員はデンソーへの出向を検討している。開発部門も、出向期間や出向させる人員規模をデンソーと調整しているという。広瀬工場は閉鎖せず、生産拠点として引き続き活用する方針だ。詳細については両社で協議を進める。
同日付でトヨタ自動車は、アフリカ市場の営業関連業務(※)を、2019年1月をめどに豊田通商に全面的に移管する方向で検討していることも発表した。
(※)南アフリカ共和国の現地事業は含まれない。
豊田通商はアフリカ地域に特化した部門として「アフリカ本部」を持ち、アフリカ市場では54の国と地域のうち、53の国と地域で事業を展開している。また、1万人以上のグループ社員がアフリカ地域内で働くなど現地ビジネスに強みを持つ。
トヨタ自動車 社長の豊田章男氏は今回発表した2件の事業移管について「『ホーム&アウェイ』の視点で、グループ全体の事業を再構築していく」と狙いをコメントした。
「ホーム」は現地現物で自分たちで付加価値を持たせることができ、競合と比較して競争力で勝っている事業や地域を指す。「アウェイ」は、他社が多くの優位性をもつ事業や地域を意味する。トヨタ自動車単体では「アウェイ」の事業でも、グループ内にはその事業を「ホーム」とする企業があるという。グループ内の事業を「ホーム」の会社に集約することにより生産性を向上し、グループ全体の競争力を強化する。
 デンソーが2018年度の研究開発費を5000億円規模に、国内工場への投資も
デンソーが2018年度の研究開発費を5000億円規模に、国内工場への投資も トヨタは電気自動車「eQ」で何を反省したか、今後に何を生かすのか
トヨタは電気自動車「eQ」で何を反省したか、今後に何を生かすのか 2030年に550万台の電動化戦略掲げるトヨタ、「異次元の構えが不可欠」
2030年に550万台の電動化戦略掲げるトヨタ、「異次元の構えが不可欠」 HVシステムは「全ての電動車両のコア技術」、トヨタは技術者を2021年までに3割増員
HVシステムは「全ての電動車両のコア技術」、トヨタは技術者を2021年までに3割増員 トヨタはモビリティサービスでどう稼ぐか、何を競争力にするか
トヨタはモビリティサービスでどう稼ぐか、何を競争力にするか デンソーの研究開発は両極端、「半導体はウエハー作製から」「AIは内製にこだわらない」
デンソーの研究開発は両極端、「半導体はウエハー作製から」「AIは内製にこだわらない」 自動運転の「判断」のデファクトを狙う、デンソーが半導体のIP設計で新会社
自動運転の「判断」のデファクトを狙う、デンソーが半導体のIP設計で新会社Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
モビリティの記事ランキング
コーナーリンク