日本郵船は、デジタル技術を用いた安全運航の達成と船上業務の効率化を目的に、最新のマリンDX機器を搭載した自動車専用船を発注済。2026年3月に完成する予定である。
日本郵船は2025年11月5日、自動車専用船を発注し、2026年3月に完成する予定であると発表した。本船は、デジタル技術を用いた安全運航の達成と船上業務の効率化を目的として開発した。自律運航システム、大動揺防止システム、船内全域をカバーするWi-Fiネットワークを搭載している。商用航海中にトライアルを実施してその効果を検証する。
自律運航システムは、船員の監視下で自動的に衝突や座礁を回避し、安全な航行を支援する。AI(人工知能)による画像認識やレーダー解析技術を活用し、周囲の状況を分析して避航計画を立案、自動操船を行う。これは日本財団の「MEGURI2040」プロジェクトで開発されたもので、従来の手動操船との切り替えも可能である。
大動揺防止システムは、波浪データをもとに船体の動揺をシミュレートし、最も揺れにくい針路と速力を操船者に提案することで、荷崩れなどのリスクを低減し、安全性を高める。
船内Wi-Fiネットワークは、通信可能エリアが限られていた従来の船内環境を改善する。アクセスポイントを船内全域に設置することで、機関室や甲板、貨物艙内でもオンラインマニュアルの閲覧やリアルタイム映像による状況確認、陸側医療機関との通信が可能となり、業務効率と安全性の向上に寄与する。また、本船は全長199.95m、全幅38.00mの自動車専用船であり、新来島豊橋造船にて建造される。
船舶の大型化や交通量の増加により操船の難易度が上がっている。また、機器の複雑化により乗組員の負担が増加している。航海中の事故の約7割がヒューマンエラーに起因している。安全運航の達成にはその予防と業務効率化が不可欠であり、マリンDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入が急務だ。
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