アマゾンウェブサービスジャパンは2018年の戦略を発表。クラウド領域だけでなくエッジ領域も含めて、デジタルトランスフォーメーションやITトランスフォーメーションなどを支援していく方針を示した。
アマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)は2018年1月26日、2018年の戦略を発表。クラウド領域だけでなくエッジ領域も含めて、デジタルトランスフォーメーションやITトランスフォーメーションなどを支援していく方針を示した。
AWSは日本において顧客を拡大しており、10万社以上の顧客を獲得しているという。その中で同社が推進するのが企業の「トランスフォーメーション」である。同社では企業のトランスフォーメーションを「ITトランスフォーメーション」と「デジタルトランスフォーメーション」の2つと定義している。
「ITトランスフォーメーション」は、作業の効率化を実現し本来の価値ある業務に集中できる仕組みへの変革を目指すもの。ITコスト削減やグローバル展開、BCP(事業継続計画)、セキュリティ、データベース移行などを含んでいる。一方の「デジタルトランスフォーメーション」は、最新のテクノロジーを活用し俊敏性の高い新しい製品やサービス、ビジネスモデルなどにより新たな価値を創出する動き。IoT(モノのインターネット)やモバイル、認識技術、音声技術、機械学習などを含む。
AWSジャパン パートナーアライアンス本部 本部長の今野芳弘氏は「デジタルトランスフォーメーションへと至る道とし、現在の個別プロジェクトごとのITシステムを融合して再構築し、クラウドへの大規模移行を進め、クラウドネイティブ化するようなことが必要になる。企業によって入り口は異なるが、デジタルトランスフォーメーションを実現するにはITトランスフォーメーションがまず必要になる」と述べている。
デジタルトランスフォーメーションの事例としては、ダイドードリンコのIoTを活用した自動販売機の監視サービスや、セゾン自動車火災保険の運転時のトラブルを解決する「つながるボタン」サービスなど、AWSを使った導入事例が徐々に増えているという。
2018年の取り組みとしては、引き続き「パートナーとともに『New Normal』を顧客に」をテーマに新たな価値展開を進めていく。強化する取り組みの1つとしては「ML(機械学習)/IoT」を挙げ、認定プログラムなどを強化することで、パートナーおよび顧客を拡大する方針。認定プログラムは「AWS マネージドサービスプロバイダー(MSP)プログラム」「AWSコンピテンシープログラム」「AWSサービスデリバリープログラム」を用意している。さらにトレーニングなども強化していく方針である。
さらに、新たな領域としてエッジコンピューティング領域についても取り組みを進める方針である。2017年11月に米国で開催された「AWS re:invent 2017」では、「FreeRTOS」や「DeepLens」などエッジ側の関連技術が多数発表されている※)。
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今野氏は「クラウドを中心として展開してきたが、IoTなどを考えた場合エッジコンピューティングの重要性は認識している。全てをクラウドで処理するのではなくエッジ側でも処理を行う分散処理を想定し、エコシステムを構築するのに貢献していきたい。総合的なシステムとして価値のあるものを構築できるように貢献する」とエッジコンピューティングについての考えを示している。
さらに、パートナーについても、現状では、デバイスに組み込むシステム構築に向けたパートナーはほとんどいない状況である。今野氏は「従来とは異なるデバイスに近いパートナーについても新たにプログラムを用意することを検討している。今具体的にさまざまな可能性を検討しているところだ。全体として価値のあるエコシステムが重要だ」と新たなパートナープログラムの可能性も示唆した。
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