NECと日本電産は、ロボットを駆動する「インテリジェントモーター」を無線ネットワーク経由でリアルタイムかつ高精度に協調制御する技術を共同開発した。複数のロボットを無線で高精度に制御できる。
NECと日本電産は2017年12月6日、小型コンピュータを内蔵した「インテリジェントモーター」を、無線ネットワーク経由でリアルタイムかつ高精度に協調制御する技術を共同開発したと発表した。工場や倉庫での自動搬送車を想定した実験を、周辺機器からの通信やノイズの影響で無線が不安定な環境下で実施したところ、搬送効率を従来比で30%改善できることを検証した。
今回の新技術は、日本電産のインテリジェントモーター向けに、NECの無線通信技術と日本電産のモーター間同期技術を融合させて開発した。
NECでは、Wi-FiやLTEなどの無線ネットワークにおける遅延発生の高精度な確率モデルを発見。これを活用して制御サーバとモーター間の通信遅延を予測することに成功した。さらにこの技術を用いて、制御コマンドが到着する時刻でのインテリジェントモータの状態を正確に推定し、この推定に基づいて先回り制御を行うことで、通信遅延を含む遠隔からもリアルタイムな制御を可能にした。
また日本電産では、複数のインテリジェントモーター同士で密に会話することで高精度に同期し、複数ロボットの協調制御を実現するモーター間同期技術を開発した。これにより、従来ではロボット側に必要だった制御用コンピュータが不要になり、工場や倉庫の搬送業務において、低コストの小型自動搬送車を複数台組み合わせ協調させることで、さまざまな形状や重量の荷物を搬送できるようになる。
IoT(モノのインターネット)の普及に伴い、さまざまなロボットが無線ネットワーク経由で遠隔から制御され、複数ロボットでの協調作業も求められるようになっている。しかし、無線ネットワーク経由で遠隔から協調制御しようとすると、通信遅延によってロボットからのデータや制御コマンドが時間通りに到着せず、正確な協調制御ができなかった。
NECと日本電産では、今回の技術を、工場や倉庫における自動搬送車、警備ロボット、災害時の調査ロボット、検査や宅配のためのドローンの遠隔制御などに応用するために実証、製品化を進める予定だ。
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