HEREが富士通と協業、強みを持ち寄り位置情報サービスを開発自動運転技術

富士通とHEREは、先進モビリティサービスの開発に向けた提携に合意した。富士通が持つ位置情報サービスやデータ分析技術と、HEREの自動運転向け高精度地図を組み合わせて新たなサービスを開発する。

» 2017年11月08日 14時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 富士通とHEREは2017年11月7日、先進モビリティサービスの開発に向けた提携に合意したと発表した。

 富士通が持つ位置情報サービスやデータ分析技術と、HEREの自動運転向け高精度地図を組み合わせて新たなサービスを開発する。日本政府が公表する自動運転車の事業化のロードマップも踏まえ、具体的なサービスや提供開始の時期を検討していく。富士通はグローバルで、HEREは日系企業に向けて位置情報サービスの提案を強化する。

 両社で開発するのは、渋滞予測や需給予測に基づいて最適に配車するライドシェアサービスや、事故など突発的な出来事に迅速に対応するための交通監視ソリューション、公共交通機関の混雑や人の動きを考慮した最適な経路案内などのソリューションだ。開発したサービスはまず日系企業向けに提供するとしている。

 今回の提携の取り組みによって、高精度地図に道路上の静的・動的情報を反映してリアルタイムに提供する「ダイナミックマップ」の提供も推進する。

次々と協力関係築くHERE

 2015年8月にドイツ自動車メーカー3社に共同で買収されて以降、2016年末からHEREへの出資や協業が相次いでいる。これによりHEREは、自動運転車に必要なセンサーや半導体を持つサプライヤー、欧米以外の地域をカバーする地図データ会社との協力関係の構築を進める。

 具体的には、自動運転用の高精度地図のリアルタイムアップデートを実現するためIntel(インテル)から出資を受けた他、中国の地図データ会社NavInfoとの協業によってプラットフォームの開発環境「HERE Auto SDK」などを中国で展開する。

 この他にも、画像認識技術を持つMobileye、GPUのNVIDIA、ライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)を開発中のパイオニアと協力関係にある。地図データ会社のインクリメントPを傘下に持つパイオニアとは、2017年9月に資本業務提携も締結した。直近では、車線ごとにセンチメーター級の自車位置測位を実現する技術を持つ三菱電機とも業務提携を結んだ。三菱電機が開発中の車載機器を通じて高精度な位置情報をHEREのクラウド基盤に集める。

 こうした協力関係から、高精度地図をリアルタイムに更新し、位置情報を反映・活用する環境を整えている。今回の富士通との協業も、こうしたHEREの取り組みを一層強化するといえそうだ。

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