こうした変化の時代の中、ソフトバンクでは「成長戦略」としてはAIを活用した革新的企業との協業や出資などを積極的に展開。既に出資を行ったこれらの先進企業については、日本でもソフトバンクを通じて展開していく方針を示した。
一方で構造改革としては「Watson」を活用した業務改善を推進。現在ソフトバンク社内で40のプロジェクトを推進中だとしている。例えば、見積もり書の作成業務などはAIを通じて、メール文書から自動で作成するシステムを構築し、従来は年間4万6200時間費やしていた見積書作成業務を150時間に圧縮し、その分の時間を顧客訪問などに充てることに成功したとしている。
同様の取り組みを広げることで「全ての業務オペレーションでWatsonを使えると考えている。定型的なオペレーション業務については、3年後には半分の人員でできるようにする。その分新しい事業に従来の半分の人員を回し成長を進めていく」と述べている。
ユーザーイベントでは、同時に「Watson」を含むクラウド開発基盤「IBM Cloud」の無期限試用が可能な「IBM Cloud ライト・アカウント」を2017年11月1日からリリースすることを発表した。ユーザーは「IBM Cloud ライト・アカウント」に登録することでWatsonやIoTなどの25種類のサービスとAPI(Application Programming Interface)を使用できる。
従来の「IBM Cloud」サービスでは、アカウント開設後、30日の無償トライアルを提供していたが、さまざまなサービスを評価するには短すぎるという声が上がっていた。今回はその声に応えるために、基本的には無期限の試用を可能とする。
「IBM Cloud ライト・アカウント」では、256MBのCloud Foundryメモリ、6つの「Watson API」を含む25種類の「IBM Cloud」サービスや、サービスやAPIをまとめた全カタログの閲覧、1つのシステム環境などが利用できる。メモリ容量やコール数などの制限が加わっており、その範囲内で済むような使用方法であれば、基本的には使い続けることができる。
日本IBM 取締役専務執行役員 IBMクラウド事業本部長の三澤智光氏は「Watsonの国内での展開は既に350社以上におよんでいるが、日本語APIを自由に触りたいという声が非常に多かったので、今回『IBM Cloud ライト・アカウント』を用意した。より多くの開発者にさまざまな形で触れてもらうことが重要だと考えている」と述べている。
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