“ジャパンクオリティー”の暮らしのIoTサービスの実現を目指すコネクティッドホーム アライアンスが東京都内で設立会見を開催。「限りなくオープンな体制をとっていく方針であり、今後も多くの企業に参加してほしいと考えている」として、活動をさらに拡大していく姿勢を示した。
コネクティッドホーム アライアンスは2017年9月14日、東京都内で設立会見を開催した。同アライアンスは“ジャパンクオリティー”の全く新しい暮らしのIoT(モノのインターネット)サービスの実現を目指す、業界の垣根を越えた企業連合となる。同年7月25日の発足時は参加企業が不動産やIT関連を中心とする30社だったが、今回の会見の時点では自動車、食品、メディア、電気/ガスなど47社が加わり総計77社となった。アライアンスの発足を主導した東京急行電鉄 取締役 常務執行役員の市来利之氏は「この他にもさまざまな企業と水面下で話をしている、限りなくオープンな体制をとっていく方針であり、今後も多くの企業に参加してほしいと考えている」と語り、活動をさらに拡大していく姿勢を示した。
コネクティッドホーム アライアンスは、工場内でのIoT活用に代表される産業用IoTとは一線を画す形で、コネクティッドホーム=暮らしのIoTについて、生活者視点から“ジャパンクオリティー”の価値あるサービスを生み出すことを目的としている。2020年に向けて、業界の垣根を越えて、各社のデバイスが相互につながる便利な世の中を目指すという。
主な活動内容は「産官学が一体となった技術研究・サービス開発」「コネクティッドホームの技術・トレンドの情報共有」「コネクティッドホームの認知・普及の促進」。「産官学が一体となった技術研究・サービス開発」で行う研究会については、「住まい」「オープンシステム」「データ活用」という3つのテーマが設定されている。各テーマでは、PoC(Proof of Concept:概念実証)を繰り返し実施して、商用サービスとしての課題を洗い出し、具体的なサービス創出につなげていく。
会見の冒頭では、コネクティッドホーム アライアンスが想定する暮らしのIoTサービスについて、ユーザー体験(UX)の観点に基づくデザインディレクターとして活動に関わっているフラワー・ロボティクス社長の松井龍哉氏が登壇。松井氏は「アライアンス発足の意義はただ1つ、壁をなくすことだ。企業間にある壁を取り去り、壁のない社会を作り出し、ひとまとまりの価値を生み出していく」と語る。
アライアンスの特別顧問を務める東京大学 生産技術研究所 教授の野城智也氏は「日本には力のあるモノづくり企業が多くあるが、もはやいいモノを作って売るだけではダメだ。使い方や居心地のいい環境までをもサポートするようにしなければならない。そのためにも、アライアンスにおけるトライ&エラーのプロセスには、ユーザーにも入ってもらわなければならないだろう」と述べる。
参加企業を代表して、東京急行電鉄の市来氏とパナソニックシステムソリューションズジャパン 取締役 専務執行役員の奥村康彦氏、美和ロック社長の和氣英雄氏も登壇した。市来氏は「日本の暮らしのIoTサービスは、米国に比べて完全に周回遅れになっており、ガラパゴス化しつつもある。アライアンスでは、市場を奪い合うのではなく、大きく育てていくという考え方のもと、拡張性、将来性、セキュリティを持つジャパンクオリティーのIoTサービスを作り出していきたい。半端な勉強会のような形で終わらせるつもりはない」と意気込む。
奥村氏は「社会や街にIoTが普及するには企業間での連携が必要。パナソニックとしてもグループ一丸でアライアンスの活動に取り組みたい」、和氣氏は「4000年の歴史を持つ鍵とスマートフォンが融合することで色んなことができる。暮らしのIoTサービスの成功のカギは鍵にある」と述べている。
なお、コネクティッドホーム アライアンスでは、2017年11月にアライアンスの活動内容や行政/学術と連携について報告するカンファレンスの開催を予定している。
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