矢野経済研究所は、国内の工場デジタル化市場規模の予測について発表した。2023年度は1兆7670億円で、2030年度までに2兆1800億円へ拡大すると予測している。
矢野経済研究所は2025年4月30日、国内の工場デジタル化(工場DX)市場規模の予測について発表した。2023年度(2024年3月期)は1兆7670億円で、2030年度までに2兆1800億円へ拡大すると予測している。
国内工場は、生産設備/機器の稼働監視や維持管理、製品の外観検査や検品、資材や搬送機器などの位置情報管理において、IoT(モノのインターネット)やクラウド、AI(人工知能)などを使ったデータ収集/データ解析やモニタリングが進んでいる。さらに、これらのデータを基に、異常検知や故障監視、遠隔監視、省エネ/エネルギー消費の見える化、AIなどを活用した品質保証、高度な自動化など、現場作業者向け業務支援の高度化が進展している。
2023年度はコロナ禍による工場向けシステム投資案件の保留や見合わせが一段落した。これにより、既に予定していた案件が再稼働を含めて動き出し市場は拡大した。これを背景に矢野経済研究所では、2023年度の工場デジタル化国内市場規模(ユーザー企業の発注金額ベース)は、前年度比103.7%の1兆7670億円と推計した。
2024年度については、トランプ関税によるリスクなどはあるものの、全般的には自動車を中心とした輸送用機械器具製造業での旺盛な工場デジタル化投資や、半導体工場の国内新設や生産能力の増強、さらには円安の定着、経済安全保障や中国リスク対応といった外部環境変化に伴う「製造業の国内回帰」が追い風となる見込みだ。国内市場規模は2023年度比104.2%となる1兆8420億円を予測する。その後も成長を続け、2030年度には市場規模は2兆1800億円となると予測している。
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