コンサルティングファームのAccentureは、企業のAI活用が進むことで、2035年までに先進12カ国における16業種で平均38%の増収が見込まれると発表した。これにより、新たに年間14兆ドルの粗付加価値の創出が可能になる。
コンサルティングファームのAccentureは2017年6月21日(米現地時間)、企業の人工知能(AI)活用が進むことで、2035年までに先進12カ国における16業種で平均38%の増収が見込まれるというレポートを発表した。同レポートは、オーストラリアのFrontier Economicsと共同で作成した。
同レポートは、日本やアメリカをはじめとする先進12カ国の主要16業種を対象に、AIが経済に与える潜在的なインパクトを粗付加価値(GVA、製品やサービスによって生み出される価値を示すGDPにほぼ相当)の指標に基づいて算出した。
これによると、企業がAIを最大限活用することで2035年までに収益を平均38%向上できる可能性があり、新たに年間14兆ドル(約1600兆円)のGVAの創出が可能になる。
調査対象となった16業種において、AIの活用が進まないケース「ベースラインシナリオ」と、AIの影響力が市場に浸透した場合に期待される経済成長盛り込んだケース「AIシナリオ」とで経済成長率を比較すると、AIは2035年時点の経済成長率を加重平均で1.7%向上させる可能性があるとことが明らかになった。
AIシナリオで成長率が特に増加する業界は、情報通信(4.8%増)と製造(4.4%増)、金融サービス(4.3%増)で、この3業界だけでも新たに6兆ドル(約690兆円)のGVAを付加すると予測している。
労働集約型の卸売業や小売業界では、AIが人間の労働力を補う形で生産性が向上し、2035年に60%近い増収が可能になる。製造業などの資本集約型の業界でも、機械にAIを組み込むことで誤作動やダウンタイムが減少し、39%の増収が可能になるという。
同社では今回のレポートの結果と合わせて、「AI戦略とリーダーシップ」「HRからHAIRへの展開」「AIによる学習補完」「最高データ・サプライチェーン責任者の任命」「オープンなAI文化の構築」「クラウドソーシングによるデータのクラウド統合」「オートメーションの高度化」「アルゴリズムによる利益の測定」など、AIによるビジネスの成功に向けて8つの戦略の検討も提言している。
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