タイヤ大手のブリヂストンはタイヤの生産性の向上に向け、ICT(情報通信技術)や人工知能技術を搭載した新たな生産システムを導入した。タイヤ成型工程において15〜20%の生産性向上を実現できたという。
タイヤ大手のブリヂストンはタイヤの生産性の向上に向け、ICT(情報通信技術)や人工知能技術を搭載した新たな生産システムを導入した。
ブリヂストンでは以前から「Flow Oriented Approach」として、製造現場発のデータ収集などに積極的に取り組んできていた。生産工程のネットワーク化や標準化などを進め、さらに国内工場においてはこれらの現場データを取得した「現場見える化」を推進。さらに2002年には、世界で初めて部材工程から製品検査工程までを全自動化し、また生産現場の状況をリアルタイムで把握するネットワーク技術を導入した生産システム「BIRD」を開発するなど、積極的に生産現場でのICT活用を進めてきている。
今回、新たに開発し導入を進めたのは、「BIRD」を基軸とした従来のICTシステムで得られるデータを活用し「ビッグデータ解析を行い知見を獲得してアルゴリズムを作成」という作業と「アルゴリズムを基に生産工程を自動制御する」という作業を新たなシステムに担わせることにより、タイヤ成型工程の自動・自律制御を行うというものだ。
具体的には、このビッグデータ分析を行いアルゴリズム生成を行うシステム群を「BIO(Bridestone Intelligent Office)」、生産工程を自動制御するシステム群を「BID(Bridgestone Intelligent Device)」とする。ブリヂストンでタイヤ生産システム開発本部長を務める三枝幸夫氏は「IoT(Internet of Things、モノのインターネット)の活用では、よくサイバーフィジカルシステム(CPS)※)の実現が必要だといわれるが、今回のシステムでは、BIOがサイバー部分、BIDがフィジカル部分を担うことになる」と述べている。
※)CPS:現実の世界の情報を、サイバー空間に取り込み、コンピューティングパワーを活用して分析し、そこで得られた最適な結果を、現実の世界にフィードバックするというシステムのこと
実際には、これらを最適に実行するために人工知能(AI)機能を実装し、常に最適化しながら生産を実行していく形になる。これらをタイヤ成型工程用で導入した生産システムが「EXAMATION」となる。
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