トヨタ自動車が材料開発に人工知能を活用、今後4年で39億円投じる材料技術

人工知能(AI)技術などの研究・開発を行うトヨタ自動車の子会社Toyota Research Institute(TRI)は、人工知能技術を活用した材料開発を加速させる。電池材料や燃料電池の触媒に使用する材料の開発期間を短縮する狙いがある。

» 2017年04月03日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 トヨタ自動車は2017年3月30日、人工知能(AI)技術などの研究・開発を行う子会社Toyota Research Institute(TRI)が人工知能技術を活用した材料開発を加速させると発表した。電池材料や燃料電池の触媒に使用する材料の開発期間を短縮する狙いがある。

 今後4年間で3500万米ドル(約39億2000万円)を投資し、社外の研究機関や大学、企業とも協力する。

 材料に関する先進的な計算モデルや実験データ取得の新手法、機械学習やAI技術を活用して材料の開発や探索に要する時間を劇的に短縮することを目指す。新材料の研究に加えて、材料開発を加速するための手法や手順も開発する。

環境目標の達成に向けては次世代電池の開発が不可欠 環境目標の達成に向けては次世代電池の開発が不可欠(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車

 テーマとする主な研究領域は以下の3つ。

  • バッテリーや燃料電池用の新材料、モデルの開発
  • 新材料の設計開発に向けた、機械学習やAI技術、情報科学理論の活用
  • シミュレーションや機械学習、AI技術、ロボティクス技術を活用した自動材料探索システム

 協力先として、スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ニューヨーク州立大学バッファロー校、コネチカット大学、英国で材料の研究開発を手掛けるIlika(イリカ)を選定した。さらに複数の研究機関などとも協力を検討していく。

 新材料の開発期間を短縮することにより、「トヨタ環境チャレンジ2050」の取り組みの1つである新車平均CO2排出量を2010年比で90%削減する目標の達成につなげる。

新車のCO2排出量を90%削減する(左)。目標達成に向けてプラグインハイブリッド車や燃料電池車、電気自動車の開発を急ぐ(右)(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車

 TRIは、材料科学以外にも、自動運転技術を通じたクルマの安全性向上、幅広い層に向けた運転機会の提供、モビリティ技術を活用した屋内用ロボットの開発に取り組んでいる。

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