Toyota Research Institute(TRI)は米国ミシガン州アナーバーに3カ所目となる拠点を2016年6月の開設する。TRIで既に稼働しているカリフォルニア州の拠点はドライバーの運転支援技術、マサチューセッツ州の拠点はディープラーニングに、新拠点では徒歩圏内に立地するミシガン大学と連携しながら完全自動運転の研究開発に取り組む。
トヨタ自動車は2016年4月7日(現地時間)、人工知能技術の研究/開発を行う子会社Toyota Research Institute(TRI)が米国ミシガン州アナーバーに3カ所目となる拠点を設立すると発表した。2016年6月の開設を予定している。TRI設立当初からある2拠点のうち、カリフォルニア州パロ・アルトはドライバーの運転支援技術の開発を、マサチューセッツ州ケンブリッジではシミュレーションやディープラーニングといった分野を手掛け、新拠点では完全自動運転の研究開発に取り組む体制とする。近隣に走行実験施設や、自動車の安全技術の研究を得意とするミシガン大学が立地する利点を生かし、自動運転技術の研究を推し進める。
TRIは2016年1月に設立し、パロ・アルトとケンブリッジの2拠点体制で稼働した。2016年3月には産業用の自動運転技術を開発する米国のベンチャー企業から16人を採用している。TRIには2021年までに10億米ドル(1080億円)の予算が投入される。
アナーバーに新設する拠点では、ミシガン大学の教授2人が教授職と兼務しながら研究の指揮を執る。ライアン・ユースティス氏はマッピング技術を、エドウィン・オルソン氏はセンサー/認識技術を担当する。新拠点全体の人員は50人程度となる予定で、新拠点の開設に合わせてトヨタ自動車の北米地域の研究開発拠点トヨタ・テクニカル・センター(TTC)で自動運転研究に携わる15人のチームが異動する。
新拠点は、ミシガン大学まで徒歩圏内に立地する。ミシガン大学は、キャンパス内に自動運転車やコネクテッドカーの開発に向けたテストコース「Mcity(エムシティ)」を持つなど、自動車分野の研究に注力している。
エムシティはミシガン州の補助を含め650万米ドル(約7億円)を投じて建設した。直線道路や市街地を模した交差点、定常旋回用のエリア、オフロードコースなど全長6.5kmのコースがある。ミシガン州としても、エムシティや州内の公道を活用して車車間/路車間通信技術の製品化を積極的に後押しする方針を示している。
今後、エムシティの近郊のウィロー・ランには新たな走行実験施設「アメリカン・センター・フォー・モビリティ」の開設が予定されている。これは、エムシティを補完するテストコースと位置付けられている。
TRIはミシガン大学との共同研究に加えて資金援助も行う。対象となるのは、人工知能やロボティクス、材料科学の分野だ。TRIは既にスタンフォード大学やマサチューセッツ工科大学とも連携しており、今後も大学や研究機関、IT企業と積極的に連携していく方針だ。
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