自動運転実用化に向けた政府レベルの取り組みは米国がリードAutomated Vehicleシンポジウム2015リポート(後編)(1/4 ページ)

自動運転技術のシンポジウム「Automated Vehicleシンポジウム2015」では、自動運転の実用化になくてはならない法整備を担当する各国政府も講演を行った。同シンポジウムリポートの後編では、自動運転のルール作りを主導する米国を中心に各国政府の取り組みを紹介する。

» 2015年08月06日 10時00分 公開
[桃田健史MONOist]

 2015年7月21〜23日の3日間、米国ミシガン州アナーバーで、自動運転技術のシンポジウム「Automated Vehicleシンポジウム2015」が開催された。同シンポジウムリポートの前編では、注目を集めているGoogle(グーグル)の他、Delphi Automotive(デルファイ)やRobert Bosch(ボッシュ)といった自動車部品メーカーの講演内容を紹介した。

 今回の後編では、自動運転の実用化になくてはならない法整備を担当する各国政府、特に米国政府の取り組みを中心に解説しよう。

米運輸省がV2Vと自動運転の融合を強調

 自動運転車の量産化に向けて、世界で最も影響力があるのは米国だ。なぜなら、米国が自動運転のルール作りを主導しているからだ。

 レベル1、レベル2といった自動運転の度合いに関する指標は、米国運輸省(DOT)が管轄するNHTSA(連邦道路交通安全局)、またはデトロイト3(General Motors、Ford Motor、Fiat Chrysler Automobile)の影響力が極めて大きなSAE(米国自動車技術会)が策定したガイドラインに示されている。これに、ドイツのBASt(連邦道路交通研究所)が同調し、その結果に対して日本の国土交通省が“準拠する”という図式である。

 よって、世界の自動車メーカー/自動車部品メーカーが、DOTおよびNHTSAの一挙手一投足を気にするのは当然だ。

 そうした中、DOTが今最も力を入れているのが、V2V(車車間通信)とV2I(路車間通信)の本格導入だ。今回のシンポジウムで、DOTはあらためてV2VとV2Iに関する法整備の動向について語った。それによると、2014年8月にV2Vの基本方針をまとめており、2015年夏にはV2Iに関するガイドラインを発表し、さらに同年秋にはCV(コネクテッドビークル)の実証試験を開始するという。そして、2017年には量産車に搭載するとした。

 そもそもDOTは、ITS(高度交通システム)のJPO(ジョイントプログラムオフィス)の枠組みの中で、自動車メーカーと自動車部品メーカーによるCAMP(Crash Avoidance Metrics Partnership)と連携。今回のシンポジウム開催地であるミシガン州アナーバーで、研究者や市民を含めた約3000台の一般車両における大規模なV2I関連の公道実証試験「Safety Pilot」を行ってきた(関連記事:米国運輸省が車車間通信の導入に本腰、搭載義務化も想定)。これはGPSと5.9GHz帯のDSRC(専用狭域通信)を融合させたもの。2017年に量産化を目指すV2VについてもDSRCの活用を目指す。

DOTは、V2Vによるコネクテッドヴィークルと自動運転車の技術を今後融合させる計画 DOTは、V2Vによるコネクテッドヴィークルと自動運転車の技術を今後融合させる計画(クリックで拡大)

 こうした流れのもと、アナーバーにキャンパスを置くミシガン大学は、V2VとV2Iの詳細な実験が可能なテストコース「Mcity」を開設した。

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