2015年7月21〜23日、米国ミシガン州アナーバーで、自動運転技術のシンポジウム「Automated Vehicleシンポジウム2015」が開催された。前回の2014年と比べて参加者が倍増するなど盛況だった。しかし、自動車メーカーが自動運転技術に関する発表を控えたこともあり、Google(グーグル)が一番の注目を集めることになった。
米国で自動運転の本格普及に向けた動きが加速している。
無人・自動の飛行および走行に関する協議団体であるAUVSI(Association for Unmanned Vehicle Systems International)が2015年7月21〜23日(米国時間)、ミシガン州アナーバーで、自動運転技術のシンポジウム「Automated Vehicleシンポジウム2015」を開催した。本稿では同シンポジウムについて前後編の2回に分けて紹介する。
同シンポジウムは、過去3年間、米国西海岸のシリコンバレー周辺で開催されてきた。しかし今回は、“クルマの街”デトロイトに近い自動車関連の研究開発拠点が集積するこの地で初の開催となった。
参加者数は約900人で、サンフランシスコ開催だった前回の2014年の500人ほどから倍増。マリオットホテルの大型カンファレンスルームで立ち見が出るほどの盛況だった。米国以外の参加国は、欧州、アジアなどの24カ国で、参加者が最も多かったのが日本の46人だった。だが会場内を見渡すと、東洋系人種では日本人よりも在米を含めた中国系の人々が多いという印象だった。
さて、AUVSIという団体はそもそも、DOD(米国国防総省)とのつながりが強く、軍需用の無人飛行体、無人潜水体、そして地雷処理などの無人陸上移動体に関する業界イベントを数多く手掛けてきた。そこに、連邦政府のTRB(交通輸送調査委員会)がジョイントする形で、民生向けの自動運転に関するシンポジウムが始まった。
米国における自動運転の研究というと、DODが管轄するDARPA(国防高等研究計画局)が、2004年と2005年にカリフォルニア州北部の砂漠地帯で開催した「DARPAグランドチャレンジ」、および2007年に同州内の旧空軍基地内で市街地の交通を模擬して実施した「DARPAアーバンチャレンジ」が挙げられる。これらDARPAのイベントが、世界各地の自動運転に関する実証試験や量産化に向けた研究開発のキッカケとなった。AUVSIはDARPAの各種プログラムとも密接に関係しており、そうした過去からの流れがAutomated Vehicleシンポジウムへとつながっている。
このような背景によって、欧州やアジアの政府/地方行政団体、および自動車メーカー/自動車部品メーカー、さらには世界のIT産業界がAUVSIの動向に注目しているのだ。
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