トヨタ自動車は、貴金属使用量を20%低減するとともに、20%の小型化も図った排気ガス浄化触媒を商品化した。触媒のセル断面積を中心部と周辺部で異なる構造としたのが特徴だ。この構造により排気ガスが触媒内部を均一に流れ、排出ガスの浄化に触媒材料を有効利用できる。触媒の基材はデンソーと共同開発した。
トヨタ自動車は2017年2月22日、貴金属使用量を20%低減するとともに、20%の小型化も図った排気ガス浄化触媒を商品化したと発表した。触媒のセル断面積を中心部と周辺部で異なる構造としたのが特徴だ。この構造により排気ガスが触媒内部を均一に流れ、排出ガスの浄化に触媒材料を有効利用できる。触媒の基材はデンソーと共同開発した。
2017年春に発売予定のレクサス「LC500h」以降、新型車に順次搭載していく。
従来の触媒はセルの断面積が均一となっているが排気ガスの流れは偏りがあり、触媒の周辺部よりも中心部で速く多く流れる。そのため、中心部でより多量の触媒材料が必要になる。しかし、現在の生産工程では全てのセルの壁面に一律に触媒材料を塗布する技術しかなく、排気ガスの通過量が少ない周辺部だけ触媒材料を減らすことはできなかった。
貴金属を含む触媒材料の使用量を増やすのはコスト増加や資源の確保が課題となるため、トヨタ自動車は触媒の浄化性能を効率化する対策を検討してきた。
今回商品化した触媒は、触媒材料を浄化で有効に使うため、排気ガスの流れを均一にすることを目指して開発した。新開発した基材は、中心部と周辺部でセルの断面積が異なるが、一体成型で量産できる。具体的には、これまで排気ガスの通過量が少なかった周辺部のセルの断面積を大きくして流路を広くした。排気ガスが速く多く流れる中心部は、セルの断面積を小さくして流路を狭めた。
セルの断面積が均一でない構造の基材を一体成型するのは「世界初」(トヨタ自動車)としている。
一般的に使用されるガソリンエンジン用の排気ガス浄化触媒の基材はセラミックスを材料とし、四角形や六角形のセルで構成されたハニカム構造となっている。セルの壁面には、一酸化炭素(CO)や未燃炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)を酸化還元するための白金、ロジウム、パラジウムなど貴金属を含む触媒材料が塗布されている。
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