パナソニック オートモーティブシステムズが新経営体制の事業方針を説明。親会社となった米国資産運用会社のApolloの下で、経営スピードの向上や生産性/コスト競争力の強化を図りつつ、「コックピットHPC」と「キャビンUX」をコア事業として企業価値を高めていく方針である。
パナソニック オートモーティブシステムズ(PAS)は2025年6月3日、東京都内で会見を開き、2024年12月に移行した新経営体制の事業方針について説明した。親会社となった米国の資産運用会社であるApollo(アポロ・グループ)の下で、経営スピードの向上や生産性/コスト競争力の強化を図りつつ、「コックピットHPC」と「キャビンUX」をコア事業として企業価値を高めていく方針である。
パナソニックグループにおける車載機器事業は、1939年に御料車(御召自動車)向けのカーラジオを開発、納入したところから始まった。2003年にはパナソニックの社内分社としてオートモーティブシステムズ社が発足し、2022年4月からは事業会社のPASとして独立を果たした。足元では売上高1兆円を超える規模まで成長している。
同社 代表取締役社長 執行役員の永易正吏氏は「パナソニックが得意とする、くらしと人に寄り添ったノウハウと技術を車載領域に展開してきた。柱となるのはインフォテインメントシステム事業とモビリティUX(ユーザー体験)事業だ。ディスプレイオーディオは世界シェア1位、IVI(車載情報機器)は同2位となっている」と語る。
事業規模が大きくなる一方で課題になっていたのが収益性だ。車載電池と同一セグメントとだった2018~2019年度は車載機器事業が営業損失計上の要因となっており、車載機器事業として単独のセグメントとなった2021年度は売上高1兆671億円に対して、営業利益が13億円(営業利益率0.1%)にとどまった。2022年度以降は業績が持ち直したものの、それでも営業利益率は2022年度で1.3%、2023年度で2.9%にとどまった。
その一方で、100年に一度という自動車業界の変革の中で、ソフトウェア開発や電動化への対応に向けたさらなる投資が求められていた。2023年11月、パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は、PASの中長期的な成長に求められるノウハウと資金を持ち、事業ビジョンを共有できるパートナーとしてApolloとの基本合意を発表。2024年3月にパナソニックHDからApolloへのPASの株式譲渡契約が締結され、2024年12月に同社の資本構成はApollo80%、パナソニックHD20%となり、新たな経営体制に移行することになった。永易氏は「Apolloの知見を活用しながら、パナソニックのグループ経営に捉われない思い切った経営計画を行い、さらなる成長を目指す」と強調する。
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