今後PASは、中長期的での持続的な成長を目指しながらも、まずはキャッシュフローの改善に向けた事業活動の筋肉質化を目指す。経営指標については、パナソニックグループ傘下では売上高や営業利益、ROIC(投下資本利益率)などだったのに対し、Apollo傘下では事業活動によるキャッシュ創出力を見るために、EBITDA(営業利益+減価償却費)からCAPEX(有形投資+無形投資)を差し引いた「E-C」を用いる。なお、E-Cは事業が創出したキャッシュのうち、当該年度で手元に残るキャッシュとなる。
これまでパナソニックグループ傘下で開発とモノづくり両面でオペレーションを強化し収益性は改善傾向にある。2025年度からのApollo傘下では経営変革をさらに加速することで、2024年度時点で400億円前後のE-Cを、2027年度には3倍となる1200~1300億円にすることが目標となる。「挑戦的な目標だが確実に達成したい」(永易氏)。この経営指標を達成した上で、早ければ2029年度にもIPO(新規株式公開)を目指す。
目標達成に向けて、経営スピードの向上、生産性/コスト競争力の強化、企業価値の向上という3つの経営アジェンダを設定推進する。1つ目の経営スピードの向上では、従来の事業部制から脱却し、事業部と地域会社の役割分担を明確化した地域軸経営に移行する。また、各事業部で行っていた商品別のオペレーションも、事業部横断のオペレーション本部によりグローバルで標準化し生産性向上を図る。
2つ目の生産性/コスト競争力の強化では、2025年2月に就任したCTRO(Chief Transformation Officer)の熊谷孝史氏と実施組織であるVCO(Value Creation Office)の下で、限界利益の向上と固定費の圧縮を進めていく。
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