パナソニック オートモーティブシステムズは「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」において、クラウドネイティブなソフトウェア開発の取り組みを発表した。自動車メーカーが実現を目指すSDVへのニーズに応える。
パナソニック オートモーティブシステムズは「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」(2025年5月21〜23日、パシフィコ横浜)において、クラウドネイティブなソフトウェア開発の取り組みを発表した。ソフトウェアとハードウェアを分離できる開発環境を用意し、自動車メーカーが実現を目指すSDV(ソフトウェアデファインドビークル)へのニーズに応える。
これまでの自動車の機能は、ソフトウェアの開発がハードウェアに依存していた。ハードウェアがなければソフトウェアを開発できなかったり、ハードウェアが変更になるとソフトウェアも変更になったりするため開発スピードを上げるのが難しかった。
パナソニック オートモーティブシステムズでは、Armのオープンソースの仮想デバイスフレームワーク「VirtIO」をクラウドに適用して実機と同一のソフトウェアが動作する仮想車載ハードウェアを構築した。ハードウェアが手元になくてもインフォテインメント系のソフトウェアをクラウド上で開発し、ハードウェアは自由に選択できる。開発したソフトウェアはハイパーバイザーやSoC(System on Chip)を問わずさまざまな車載ハードウェアに搭載可能だ。アップグレードやOSの変更も容易だ。すでに業務で一部使っているという。
人とくるまのテクノロジー展の会場では、車載Android/Qt/Linuxに加えて仮想のスマートフォンがクラウド上の開発環境で動くデモンストレーションを紹介した。タッチ操作など入力を試せる他、Bluetoothで車載Androidのオーディオ機能と仮想のスマートフォンを接続し、スマートフォン上の音楽を車載オーディオから再生できる様子を示した。音楽は仮想のスマートフォンから音量をミュートしても消音されないが、仮想のオーディオ画面からはミュートできるなど、スマートフォンとの連携機能の開発にも対応している。
現在はインフォテインメント系のソフトウェア開発にこの開発環境を活用しているが、今後は車載HPC(高性能コンピュータ)向けのソフトウェア開発でも利用していきたい考えだ。
この開発環境は自動車メーカーが開発する車載OSとも共存できる。「車載向けのデバイスが一部足りないので拡張は必要だ。また、共存するにはVirtIOへの対応が必要だが、車載OSはLinuxのカーネルを使っているので基本的にはサポートできる」(パナソニック オートモーティブシステムズの説明員)。
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