パナソニック オートモーティブシステムズは、自動車サイバーセキュリティソリューション「VERZEUSE」シリーズを拡充し、新たにISO/SAE 21434 準拠脅威分析ソリューションを追加するなど、クルマの開発から車両出荷後までライフサイクル全体にカバー範囲を広げる。
パナソニック オートモーティブシステムズは2024年10月24日、自動車サイバーセキュリティソリューション「VERZEUSE」シリーズを拡充し、新たにISO/SAE 21434 準拠脅威分析ソリューションを追加するなど、クルマの開発から車両出荷後まで、ライフサイクル全体(設計、実装、評価、製造、運用)へカバー範囲を広げる方針を示した。
クルマの開発でソフトウェアの比率は年々大きくなり、Software Defined Vehicle(SDV)の時代だといわれている。SDV化が進めば、サイバー攻撃のリスクは高まる。クルマがコネクテッド化し、サイバー攻撃の入り口が増えるからだ。また、ソフトウェアの開発量が膨大になり、オープンソースソフトウェア(OSS)の活用が広がり、脆弱(ぜいじゃく)性の混入可能性が高まっている。こうした状況下で自動車業界全体でサイバーセキュリティ対策に取り組む動きが進んでいる。
2020年6月に、国際連合の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)により、自動車のサイバーセキュリティとソフトウェアアップデートに関する国際基準(UN-R155)が成立し、2026年5月以降は全ての車両がサイバーセキュリティ対応が必要になる。パナソニック オートモーティブシステムズではこうした動きに対応できるソリューションを強化し、自動車産業の支援を進める。
パナソニックグループでは、ネットワーク化が進むAV機器やモバイル機器、IoT(モノのインターネット)機器において、組み込み機器セキュリティに30年以上取り組んできたが、車載機器にこれらの人材を集結し、自動車セキュリティへの取り組みを強化してきた。その強みを生かして提供してきたのが自動車セキュリティソリューションのVERZEUSEである。
パナソニック オートモーティブシステムズ 執行役員 開発本部長の茨木晋氏は「パナソニックグループはセキュリティについて民生品で30年以上取り組んできた。また、民生品で起こることが車載でも起こると考え10年以上前から研究開発を進めてきた」と強みについて述べている。
VERZEUSEは、クルマの開発から出荷までのライフサイクルの全てのフェーズ(設計、実装、評価、製造、運用)をカバーするサイバーセキュリティソリューションだ。個別のソリューションやサービスとしても活用できるが、組み合わせて活用することで、連動した効果なども発揮できるという。「個別のソリューションは、競合を含めて、多くのセキュリティベンダーが用意しているが、VERZEUSEは、パナソニックグループのノウハウの蓄積を生かし、セキュリティの知識のないそれぞれのフェーズの専門家でも扱いやすい形としているのが特徴だ」とパナソニック オートモーティブシステムズ 開発本部 プラットフォーム開発センター セキュリティ開発部長の中野稔久氏は述べている。
VERZEUSEは、セキュリティ実装時に使用する仮想化セキュリティソリューション「VERZEUSE for Virtualization Extensions」や、サイバーセキュリティ堅牢化ソリューション「VERZEUSE for Runtime Integrity Checker」、脆弱性監視や分析を行う「VERZEUSE for SIEM」と「VERZEUSE for SIRT」などのソリューションを展開し、多くの自動車メーカーやサプライヤーに導入を広げている。今回は新たに脅威分析やリスク評価、セキュリティ検証や妥当性確認をカバーする新たなソリューションを追加し、ラインアップを強化する。
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