二輪車市場は現状の5000万台規模から、2030年には電動車を含めて6000万台規模に成長すると予測されている。ホンダは競争力の高い商品を継続的に投入するとともに、電動化などカーボンニュートラルへの対応を進めながら、長期的に世界シェア5割を目指す。
ホンダは2025年1月28日、二輪事業の説明会を実施した。ホンダの2024年度の二輪車販売台数は2020万台を見込んでおり、世界シェアは約4割と試算している。2024年暦年では37の国と地域で過去最高の販売台数を記録した。
二輪車市場は現状の5000万台規模から、2030年には電動車を含めて6000万台規模に成長すると予測されている。競争力の高い商品を継続的に投入するとともに、電動化などカーボンニュートラルへの対応を進めながら、長期的に世界シェア5割を目指す。
「成長はインド次第。インドでどこまでシェアを伸ばせるか、電動化がどれだけ進むかというところも含めてインドではチャレンジが続く」(ホンダ 執行役 二輪・パワープロダクツ事業本部長兼二輪事業統括部長の加藤稔氏)。二輪車の最大市場で2000万台規模のインドでは、電動二輪車の普及に向けて2028年に電動二輪車専用工場を稼働させる。
ホンダは2040年代に全ての二輪車でカーボンニュートラルの実現を目指す。エンジンの進化にも継続的に取り組みながら、電動化を推進する。2030年のグローバルでの電動二輪車の販売目標を400万台とし、同年までにグローバルで30機種を投入する計画を既に発表済みで、30機種のうち13機種が発表された。エンジン車をベースにしない電動専用モデルを増やしていくことで競争力を高める。
この目標に向けて、電動二輪車市場に本格的に参入している。2024年10月には、交換式バッテリー「Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック)」を搭載した「CUV e:」、固定式バッテリーを搭載したモペットタイプの「ICON e:」の2車種をインドネシアで発表した。CUV e:は、欧州や日本を含む20カ国で販売予定だ。また、2024年11月にインドで、モバイルパワーパックを搭載した「ACTIVA e:」、固定式バッテリーのモペット「QC1」をインド専用モデルとして発表した。
同じく11月にイタリアで開催された「EICMA 2024」では、ホンダ初となる電動スポーツモデルのコンセプトで、2024年度中に発表予定の「EV Fun Concept」と、近未来の都市型モビリティを具現化したコンセプト「EV Urban Concept」を公開した。
モバイルパワーパックは、他社製の電動二輪車にも供給していく他、建設機械や農耕機などさまざまな製品に展開している。
加藤氏は「四輪車のEVはトーンダウンしているが、二輪車はまだこれから。バッテリーの搭載スペースが限られているので現時点ではユーザーの期待に応えられる走行可能距離は確保できていないが、バッテリーが進化すれば電動化も一気に進む」と二輪車の電動化に期待を示した。
二輪車の電動化で足元の変化が大きいのはインドだ。補助金などの政策や新興勢のモデル投入などにより、二輪市場の5%程度=100万台ほどの電動車需要が生まれている。
交換式バッテリー搭載の電動二輪車の展開に当たって、インドには現地法人Honda Power Pack Energy Indiaを設立し、バッテリーシェアリングサービスを提供している。ACTIVA e:の発売にあわせて、ベンガルールやデリー、ムンバイでサービスを開始した。固定式バッテリーの充電切れの不安に対しては、インドに6000店舗ある販売ネットワークを通じて充電網を拡充していく。これらの取り組みにより、インドの電動二輪車においてもシェアトップを目指す。
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