村田製作所は、「オートモーティブワールド2025」において、開発中の低周波向け薄型吸音材を展示した。薄型であるにもかかわらず1000Hz以下の低周波の吸音率を大幅に向上できることを特徴としている。
村田製作所は、「オートモーティブワールド2025」(2025年1月22〜24日、東京ビッグサイト)の「第17回 カーエレクトロニクス技術展」において、開発中の低周波向け薄型吸音材を展示した。薄型であるにもかかわらず1000Hz以下の低周波の吸音率を大幅に向上できることを特徴としている。主に、ロードノイズやエンジン音、小型家電製品からの騒音、オフィス雑音などを吸収する用途を想定している。
展示した吸音材は多孔質型の素材を用いた不織布である。一般的な吸音材も多孔質型であり、空気伝搬によって伝わる音のエネルギーが材料内部の空隙を通る際の摩擦によって減衰することで吸音を実現している。ただし、1000Hz以下の低周波の音については、固体である吸音材そのものを伝搬する比率が高く吸音の効果が小さいことが課題だった。
村田製作所が開発した吸音材は、固体を伝搬する低周波の音の吸音性能を大幅に高めることができる。既存品と比べると、厚さ11mmの場合で約4倍の垂直入射吸音率を達成している。従来品で同程度の垂直入射吸音率にする場合、厚さは20〜30mmになるので、薄型化にも貢献できる。
展示では、ヘッドフォンの左耳側に厚さ11mmの既存品の吸音材を、右耳側に厚さ11mmの既存品と同0.3mmの村田製作所の開発品を組み込んで、1000Hzの低周波の吸音効果を体感できるデモを行った。「まだ開発の初期段階であり、性能の最適化や既存品と組み合わせたときの接合の方法などを検討する必要があるものの、低周波を半減させるポテンシャルがあると考えている」(村田製作所の説明員)という。
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