NTTが2030年にレベル4自動運転車両を1000台運行へ 新会社に知見と技術を集約自動運転技術

NTTモビリティは、同社の設立の狙いや事業ビジョンなどについて説明した。路線バスを中心にしてレベル4の自動運転実現を目指し、2030年に自動運転車両1000台の運行を目標としている。

» 2025年12月24日 08時30分 公開
[坪田澪樹MONOist]

 NTTモビリティは2025年12月17日、東京都内とオンラインで記者会見を開き、同社の設立の狙いや事業ビジョンなどについて説明した。同社は自治体や交通事業者などを対象に自動運転システムの導入から運用までをワンストップサービスとして提供し、運行支援に取り組んでいく。路線バスを中心にしてレベル4の自動運転実現を目指し、2030年に自動運転車両1000台の運行を目標としている。

 同社はNTTの100%子会社として2025年12月15日に設立された。資本金は14.3億円である。「人が移動でつながり続ける毎日へ」をビジョンに掲げ、地域の生活に寄り添った自動運転サービスの提供を目指す。2028年度までに路線バス領域における自動運転レベル4の実現に向けた取り組みを開始し、順次対象領域を広げながら全国展開も進めていく方針だ。

NTTモビリティの今後の展望[クリックして拡大]出所:NTTモビリティ
NTTモビリティの山下航太氏

 NTTグループはこれまでにも、全国各地における自動運転の実証実験に取り組んでおり、その範囲は現在も拡大している。グループ全体で取り組んできた知見や技術を集約/統合して自動運転の社会実装をより強く進めるために自動運転の会社として新たに設立した。

 NTTモビリティ 代表取締役社長の山下航太氏は「移動を支える交通の担い手が減少しており、人から移動の自由を奪うことにつながることを懸念している。自治体や交通事業者/利用者、沿道/地域の住民、そして各技術者と連携していくことが非常に重要だと考えている」と語る。

日本のドライバーに関する課題[クリックして拡大]出所:NTTモビリティ

 NTTモビリティは定時/定路線バスやオンデマンドバス、ロボットタクシーをターゲットにしている。地域のニーズに沿った車両や自動運転システムの調達、ルート設計、運用人員向けのトレーニングプログラム、車両内外の遠隔モニタリングなど自動運転の導入から運用に必要な幅広いサービスを提供予定である。

NTTモビリティの事業領域[クリックして拡大]出所:NTTモビリティ

 より高い安全性を備えつつ地域に寄り添った自動運転を実現するための技術として、同社はNTTグループで取り組んでいる路車協調技術/システムを活用していく。山下氏は「車両単体でのセンサーでは限界がある。道路側や周辺環境に設置されたセンサーから情報を吸い上げてそれを車両側にフィードバックすることで、変化/死角の状況をタイムリーに把握して対応できる。NTTグループでは本領域に関する各種研究に取り組んでいる」と述べる。

NTTグループの路車協調への取り組み[クリックして拡大]出所:NTTモビリティ

 他にもNTTモビリティでは自動運転の高度化/自動運転の新しい価値創出を目指して2026年2月にNTT武蔵野研究開発センタ内へ共創ハブ「Co-Creation Hub」を構える予定である。同施設では自動運転に関する検証以外にも、地域と連携したイベントや企業パートナーとの共創の場として運用していく方針である。

Co-Creation Hubの概要[クリックして拡大]出所:NTTモビリティ

 また、NTT武蔵野研究開発センタ周辺で複数の車両やベンダーの自動運転車の実証実験を計画している。レベル4に対応した高信頼通信を実現するために、運行車両を統合モニタリングシステムで管理しつつ、AI(人工知能)を活用して少人数で多くの車両を管理/制御できる仕組みづくりを目指していく。

統合モニタリングシステムによる管理/制御の概要[クリックして拡大]出所:NTTモビリティ

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