日産自動車は中国で発売したセダンタイプのEV「N7」が発売から1カ月で1万7215台を受注したと発表した。N7は日産の中国の合弁会社である東風日産が発売した。中国では2027年夏までに9車種の新エネルギー車を発売する計画で、N7はその第一弾となる。
日産自動車は2025年6月5日、中国で発売したセダンタイプのEV(電気自動車)「N7」が発売から1カ月で1万7215台を受注したと発表した。N7は日産の中国の合弁会社である東風日産が同年4月27日に発売した。中国では2027年夏までに9車種の新エネルギー車(NEV)を発売する計画で、N7はその第一弾となる。
N7は35歳以下の若い家族をターゲットにしたファミリーカーだ。現行「セレナ」の商品企画責任者も参加し、乗り物酔いしにくさや家族での使用シーンへの対応などに力を入れた。N7は独自プラットフォームのEVで、バッテリー容量は58kWhと73kWhの2種類を用意し、走行可能距離は最大635kmとなる。
N7には「マックス」「プロ」「エリア」の3グレードを用意し、11万9900〜14万9900元(約237万〜297万円)で販売している。東風日産 商品企画部部長でN7担当のチーフプロダクトスペシャリスト(CPS)である呉越氏は「この価格でも利益が出ている」という。10万〜20万元のセダンタイプのEVとしては、BYDが展開する「秦」シリーズや、XPENGの「MONA」「P7」を上回る受注を獲得した。「期待を超える滑り出しだ」(呉氏)としている。
N7は東風日産で開発した。Momentaと共同開発したエンドツーエンドの運転支援システム「ナビゲートオンパイロット」や、AI(人工知能)とセンサーでシート内部のエアバッグを調整する姿勢適応システム「ゼロプレッシャーシート」など先進技術を搭載した。
ナビゲートオンパイロットは高速道路では自動運転が可能で、市街地ではユーザーが普段使っているルートを設定するとドアツードアで運転支援を行う。Momentaの技術は基本的に中国国内向けとなる。また、室内の機能をつかさどる新開発の「日産OS」も採用している。子どもに対しても安全なインテリアデザインと室内空間の広さに加えて、中国で人気の装備である大型ディスプレイや冷蔵庫を採用したことも特徴だ。
ターゲットカスタマーは「センスのいい父親」。経済的に発展した2〜3級都市で暮らし、家庭を持ち子どもがいる層だ。エンジン車からEVへの買い替えを検討する中で、家族へのケアやデザインのトレンド感、品質、知能化を含めた快適性などを重視する。
N7のユーザーの70%が、日産車を初めて購入した。N7の快適性や日産ブランドに対する信頼と価格が評価され、受注と新規顧客の開拓が進んだとしている。購入の決め手となった要因としては、快適性、東風日産ブランドに対する信頼、リーズナブルな価格などが挙がった。日産のグローバル基準での品質管理の他、衝突安全性能やバッテリーの安全性なども強みとなった。中国のユーザーはバッテリーの発火に対して敏感だ。
NEVの新型車投入だけでなく、東風日産ではNEVの販売ネットワーク改革に取り組んでおり、注文/配送/アフターセールスの分離を進めている。すでに、NEV専用の配送センターが100店舗以上、注文センターが500店舗以上設置された。メンテナンスの予約や進捗状況をリアルタイムで表示する機能や、ユーザー同士が交流できるコミュニティー機能を持つアプリも提供中だ。全てのバリューチェーンでN7の好調さをキープできるように東風日産全体で力を入れる。
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