ラストマイル配送での新事業を展開、配送用電動マイクロモビリティを活用電動化

ホンダは、都市部でのラストマイル配送に向けて、配送用電動マイクロモビリティを活用する新事業「Fastport(ファストポート)」を立ち上げる。

» 2025年07月01日 16時00分 公開
[MONOist]

 ホンダは2025年6月17日、配送用電動マイクロモビリティを使った都市部などにおけるラストマイルの配送で新たなソリューションの提供を目指す新事業「Fastport(ファストポート)」を立ち上げると発表した。

 Fastportは、ホンダの米国現地法人であるアメリカン・ホンダモーター内で新規事業の創出を担当する部署「Honda New Business Innovation Lab(ホンダ・ニュービジネス・イノベーション・ラボ)」から生まれたホンダの新たなFaaS(Fleet as a Service)モデルだ。

 Fastport初の製品として、配送用電動アシストマイクロモビリティ「Fastport eQuad(ファストポート・イークアッド)」の試作機が開発された。これは、2025年6月25日から29日にドイツ・フランクフルトで開催される「Eurobike(ユーロバイク)」で世界初公開される。

キャプション Fastport eQuadプロトタイプ[クリックで拡大] 出所:ホンダ

 Fastport eQuadは、ライダーのペダル操作を動力として活用し、それを電子的に駆動系へ伝える「ペダル・バイ・ワイヤ」方式を採用している。さらに、電動アシストで漕ぐ力を補助することで、パワフルで滑らか、かつ静音性に優れたゼロエミッション走行が可能だ。

 加えて、回生ブレーキシステムの採用によりエネルギー効率を向上させ、オートブレーキホールド機能により安全性も強化されている。更にUVカット機能を備えたキャノピーに加え、換気用のファンや前面をしっかりカバーする構造により、快適な走行環境を提供する。

 Fastport eQuadは、北米と欧州の市場特性に応じて、大型・小型の車体と貨物ボックスの2タイプを展開。また、全長をニーズに合わせてカスタマイズできるため、食品や小型荷物から大型貨物まで、さまざまなサイズと量の配送に柔軟に対応できる。

 車両の提供にとどまらず、FastportのFaaSプラットフォームと連携し、包括的で効率的な配送ソリューションも提供する。

 バッテリーや貨物ボックスの保守・メンテナンス体制が整っているほか、車両の稼働状況、バッテリー残量、走行データのモニタリングにより、配送や管理業務の最適化に寄与する。また、ソフトウェアはOTAによる自動アップデートに対応しており、継続的な機能改善が可能だ。

 ラストマイルと呼ばれる、消費者の元へ荷物を届ける物流の最終段階は、都市部での交通渋滞や、高頻度かつスピードが求められる配達環境など、多くの課題を抱える複雑な領域となる。 この解決策として、ホンダはFastport eQuadを開発した。自転車レーンでの走行を想定して設計されており、都市部の複雑な交通環境においても高い機動力と配送効率の向上が期待される。

 更に電動アシストの動力源には交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー)」が採用されており、充電済みのバッテリーとの交換が容易に行える点も特徴だ。これにより、環境にやさしく効率的な配送が可能となる。

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