IoTがもたらす革新は、製造業にどういう影響をもたらしているのだろうか。大手電機のパナソニックでは、自社内や自社外でIoTを活用した業務プロセスやビジネスモデルの変革に積極的に取り組んでいる。危機感の裏付けになっているのが「スマホショック」だ。同社のIoT戦略を取り仕切るパナソニック 全社CTO室 技術戦略部 ソフトウェア戦略担当 理事 梶本一夫氏に話を聞いた。
IoTによる産業革新は、あらゆる範囲で影響を及ぼしつつある。こうした中で製造業はこの流れにどう立ち向かい、どう取り込んでいくべきなのだろうか。大手電機メーカーとして、IoTによる製造ビジネス革新の動きに自社内・自社外で取り組むパナソニックは、強い危機感のもと、大きな意識改革に取り組んでいるという。パナソニックのIoT取り組みを、IoT戦略を取り仕切るパナソニック 全社CTO室 技術戦略部 ソフトウェア戦略担当 理事 梶本一夫氏に聞いた。
ITmedia産業5メディア総力特集「IoTがもたらす製造業の革新」のメイン企画として本連載「製造業×IoT キーマンインタビュー」を実施しています。キーマンたちがどのようにIoTを捉え、どのような取り組みを進めているかを示すことで、共通項や違いを示し、製造業への指針をあぶり出します。
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MONOist パナソニックは大手電機メーカーとして自社内でのIoTの活用や、自社製品のIoT活用など、さまざまな領域でIoTと関わりがあると思いますが、IoTによる変化をどう捉えていますか。
梶本氏 まず最終製品の進化を見た場合、ここ数十年の変化はIT(情報技術)との接点がより1人1人の消費者に近寄ってきたという歴史だったといえる。1960年代は計算機室で計算機専門家が扱うようなものだったのが、1980年代にはOAが登場し浸透。1990年代からはモバイル機器が普及した。さらに2010年代からはIoT関連技術が登場し、決まったハードウェアを必要とせずサービスを提供できるようになってきた。こうした1人1人の生活に密着するという段階となり、家電メーカーが得意な領域に入ってきた。
梶本氏 ただ、得意な領域に入ってきたからといってパナソニックが全面的にブランドを立てて、IoTを推し進めていくつもりはない。IoTを事業として推進していくためには、幅広い技術リソースが必要となる。また産業や顧客に応じたビジネスモデルが必要となる。パナソニックの方針としても「BtoCからBtoBへ」があるため、パートナーと一緒に顧客のニーズを実現していくことを目指す。「Powered by Panasonic」として存在感を発揮できれば良い。
中期経営計画で挙げている地域と事業を組み合わせて重点領域を戦略的に定める「4×3マトリクス」についても背景としてIoTがあるといえる。同事業方針では、日欧米などの先進国地域の家電事業に集中してきた過去からリソースをシフトする方向性を示している。その中で、特に多くのリソースを振り向けるのが、BtoBソリューションである。同事業は、業界とコア商材、地域を掛け合わせた中で、新たな付加価値の創出を狙う方針である。
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